今回は、『「気がきく人」と「気がつく人」の違いとは。「気がきかない人」が身につけるといいことは?』という記事をご紹介します。
まだ若い頃、家族や親戚から「気が利かない子だね」と言われた経験を持つ保護者は多いのではないかと思います。
そもそも「気を利かせる」とは、他者の立場やそのときの状況にふさわしい言動をすることであり、他者に「気を利かせる」にはまず自分以外の他者を思いやる心を持つところから始めなければなりません。
では、我が子に他者を思いやる心を持たせるにはどうすれば良いのか。
この部分に悩んでいる保護者は多いのではないかなと思います。
それはそうです。思いやりなんていうめちゃくちゃ抽象的なことを、こうすれば持てますよと具体的に教えられる人などそうそういないのではないでしょうか。
じゃあ解決策などないのかというと、そうでもありません。
実は、他者への思いやりは、誰しも、どれだけ小さな子でも、どんなに反抗的な子であっても、家族に対しては割と持っているからです。
そんなことはないだろうと思われるかもしれませんが、本人も保護者も家族の誰も自覚していないだけで、家族に対しての思いやりを持っています。
そもそも各自の思いやりがなければ、一つ屋根の下で暮らすなんてことは成立していません。各自が好き勝手に生活すればギスギスするでしょうし、自分の都合に一切配慮してくれない家には居たくもないはずだからです。
子どもが休みの日でも家の中にいる。自分の部屋に閉じこもってはいるけれど、家の中からは出ようとしないのであれば、家の中は割と安心安全だと思ってくれているのです。本人は絶対に口が裂けても言わないと思いますし、認めようともしないとは思いますが。
閉じこもっている自分の部屋から家族が集うリビングなどに出て来て欲しいのであれば、「本人の嫌がることを絶対にしない・言わない」を家族全員が徹底すれば、時間は掛かるでしょうが自然と部屋から出て来るようになります。
高千穂町の伝説にある”天の岩戸”作戦です。
ただし、注意点が一つあります。ちょっと部屋から出て来るようになったからといって、本人と込み入った話をしようとしないでください。
本人の様子が気になるのは分かります。どうして部屋から出て来ようとしないのか、何かあったのではないかと本人に尋ねたい気持ちも分かります。心配ですよね。
ですが、本人が自分から話したい、話しても良いかなと思えるまで、保護者側は是非とも思いやりを持って本人に接してあげてください。
社会人である保護者なら出来るはずです。人とあまり話したくなさそうな雰囲気を出している人へは声を掛けないでそっとしておくという思いやりのある行動が出来ているはずです。
家族であっても我が子であっても自分以外は他人です。本人には本人の考えがあります。家族なので似通ってはいるでしょうが、性別も顔形も性格も本人と全く同じ人なんて世界中を探しても絶対にいません。
本人の意思を尊重し、挨拶や日常会話だけをしながら本人のお世話をせっせとこなしていると、そんな思いやりのある家族を避けるようなマネをしている自分が不甲斐ないと思ってくれるのでしょう。それとなく本人が家族が集うリビングにいるようになってくれます。
この”それとなくリビングにいる”が、この時の本人の家族に対する精一杯の思いやりなのです。本人は、家族から何をされようが無視し続けることも出来たはずなのに、家族が自分のことをあまりにも大事にしてくれるので、家族を無視し続けることが出来なくなったのです。本人なりの優しさです。
そうなるまでにも相当時間が掛かると思いますが、そうなってからが本番です。
リビングにいてくれるようになった本人と仲良くなるために、色んなお話をしてください。
ただし、ここでも込み入った話はしません。本人が普段よく見ているものだったり読んでいるものだったり食べているものだったり、一緒に見ているテレビや動画の感想についてだけです。これも思いやりです。
根気に次ぐ根気でくじけそうになると思いますが、信頼とは本来、そんな風に時間を掛けて築かれていくモノのはずです。
何を言っているんだ。家族なんだから信頼関係は築かれているだろうと思いますよね。
築かれてはいるのです。でも、本人が自分から込み入った話をするためには、とてつもなく勇気がいるのです。嫌われてしまうのではないか、失望されてしまうのではないか、話したら保護者が離れていってしまうのではないかと心配なのです。怖いのです。
部屋に引きこもっていた本人は、家族からあれこれと聞かれるに違いないと思っていたはずです。何があったのか話して欲しいと言われるに違いないと思っていたはずです。
ところが、いつまで経ってもそんな気配は一切無いのです。いつもと変わらない態度で、いつもよりも少し多めに話をするくらい。しかも雑談ばかりです。不思議だと思いますよね。何でだろうと考えますよね。
考えて考えて、自分の気持ちを思いやっていつも通りにしてくれているんだと気付いた瞬間、本人の中で家族に対しての思いやりの心が大きく膨らみます。それからなのです。あれこれと本人が話してくれるようになるのは。
本人が何か話しづらそうな雰囲気を出している時は、こう言ってあげてください。大丈夫だよ。どんなことがあってもあなたを嫌いになんてならないよ。失望したりもしないし、呆れたりもしない。離れたいと思っても、なかなか離れられないのが家族なんだよと。
そうしたらきっと、自分に何があったのかをぽつりぽつりと語ってくれるはずです。
本人の中での家族に対する思いやりの心が大きく膨らんで膨らんで溢れ出したら、次は他者への思いやりの番です。つまり、他者に「気を利かせる」には時間が掛かります。すぐすぐは無理です。同じ年齢で出来ている子がいるのなら、それはその子が凄いだけです。
でも、時間は掛かりますが誰でも出来るようになります。他者を思いやれる優しい「気を利かせられる」人になれます。
本人がそんな大人になれるよう、保護者はこうやるんだよという手本を、本人自身を思いやることで見せてあげてくださいね。
根気に次ぐ根気で心が折れそうな時は私たちにご相談ください。私たちも似たような経験をしています。愚痴でも何でも全然聞くので、お気軽にご連絡くださいね。