「何もしない」は難易度Sクラス

今回は、「小児神経専門医が警鐘、問題生む「不登校=起立性調節障害」という誤解」という記事をご紹介します。

発達にでこぼこのある子は体質的に自律神経が乱れやすいようで、時期によっては特に体調を崩しやすかったりします。

上記記事にもあるように単純な起立性調節障がいと診断される場合もありますが、複合型の起立性調節障がいの場合は自律神経以外にも精神的なモノによる不調もあり、長期化してしまうことがままあります。

保護者としては、このままずっと登校できなくなってしまうのではないかと心配になりますよね。

不登校の子が登校できるようになるには周囲の理解が必要とよく言われますが、”周囲の理解”とはどういう状態を指すのでしょう。

起立性調節障がいや発達障がいについて知れば良いのではと思われるかもしれませんが、知識として”知る”ことと、”理解する”ことは別です。

誰もが”知っている”だろう内閣総理大臣で例えてみますね。

内閣総理大臣のことはテレビで良く見るから知っているけれど、内閣総理大臣が具体的にどういう仕事をしているのか実際には見たことがないし良く分からない。内閣総理大臣が大変そうというのは何となく分かるけれど、何が大変なのかは内閣総理大臣になったことがないから分からない。

つまり、“知る”ことはある程度出来ますが、”理解する”ことは当事者にならない限り難しいということ。

頭痛も腹痛もめまいも、本人が感じている不調は本人にしか分からないモノです。

不登校になった経緯も本人にしか分からないモノですし、ヘタをすると本人も分かっていなかったりします。

そんな中で周囲の人間が出来ることは、本人の話を良く聞いて、本人が望んでいない事をしないこと。させないこと。言わないこと。

つまり「何もしない」です。

そんなことで登校できるようになるわけがないと思われるかもしれませんが、今までにも色々と試しましたよね。

やれることは全部やってみたけど変わらなかったんですよね。

なら、「何もしない」もやってみましょう。1週間でも数日でも良いですから。

本人にも本人が望んでいないことは「何もしない」「何もさせない」「何も言わない」宣言して、守られなかったらレッドカードを出してもらうようにもしましょう。

「何もしない」くらいで何かが変わるわけがないと思われるかもしれませんが、実際にやってみると「何もしない」が相当難しいと分かるはずです。レッドカード出されまくりのはずです。

こんなことでもレッドカードになってしまうのか。

こんなにもイヤだと思っていたことがあったのか。

「何もしない」がこんなにも難しいのはどうしてだろう。

そうやって「何もしない」ことで見えてくるモノを”理解”していくことで、周囲も本人もちょっとずつ楽になるのではないかと思います。

騙されたと思って「何もしない」を試してみてくださいね。

そして、少しでも良さを感じられたなら続けてみてください。苦しくて難しいだろうと思いますが、本人と、何より自分自身のためにも是非。

学校に行けるかどうかは学校側の問題もあるでしょうから難しいかもしれませんが、一番身近な人たちが「何もしない」ことで精神的に安定し、少しだけなら、午後になら、保健室になら行ってみようかなと本人から言ってくれるようになる可能性はあります。

少しだけでも学校に行こうと思えるようになったのなら、「何もしない」は大成功です。でも、焦りは禁物。

焦らずゆっくりじっくりと、ちょっとずつ学校の時間が増やせるよう、家庭で成功した「何もしない」を学校側にもお願いしてみてください。

一進一退でジリジリとした時間が続くかと思いますが、どうか焦らず。

そうやって「何もしない」で自分のペースに合わせてくれる人たちがいるのは、本人にとっては心強いのではないかなと思います。

そうは言っても「何もしない」のは不安で仕方がないと思います。不安に押しつぶされそうな時は私たちと共有してくださいね。私たちも同じ不安を抱えていますから、支え合いましょう。

自分の能力値を見極めよう

今回は、「大人の発達障害「グレーゾーン」が増加 症状は軽くないのに“保険診療”されず…「二次障害」の高いリスクも」という記事をご紹介します。

ここ数年、「大人の発達障がい」という言葉を聞く機会が増えて来ました。

「大人の発達障がい」というと、大人になってから発達障がいの特性が出て来たのだと思われがちですが、大人になる前から特性を抱えていたけれど目立っていなかったという人が殆どです。

学生の頃は気心の知れた友人たちだけで過ごしていても問題はありませんでしたが、社会人になると全体でのチームワークが重視され、多かれ少なかれコミュニケーション能力が問われます。

遅刻やミスが多い。対人関係を上手く築けない。トラブルを引き起こしがち。

発達にでこぼこのある子が抱えがちな困りごとですが、これらを解消するために幼少期から対処方法を探してあれこれとトレーニングしている子は大人になってもそれほど無理をしません。

自分が何が得意で何が苦手なのか、それぞれの能力値を知っているからです。

自分の能力値を知らないまま大人になってしまうと、自分が何が得意で何が苦手なのかも分からないまま社会の荒波に揉まれ、そして、苦手なものを一生懸命頑張ってこなそうとして心身共に疲れ切ってしまいます。

そうなると、結果として、うつや適応障がいなどの二次障がいを発症してしまうというわけです。

大人の発達障がいが二次障がいのリスクが高いのは、自分の能力値を知らないまま社会に出てしまったから。

そうならないためには、自分の能力値を知らなければなりません。

能力値とは、学力も含みますが、それだけではありません。

生活力やストレス耐性、先祖代々遺伝していそうな身体的特徴や思考の癖など、自分の心身のステータス値のようなもののことを指します。

ゲームが好きな子であれば、ゲームのキャラクターが持っているスキルのようなものだと言えば分かりやすいでしょうか。

キャラクターごとに強化しやすいスキルもあれば、あまり強化出来ないスキルもあったりしますが、人間もその辺りは同じで、トレーニング次第で伸びていく能力もあれば、あまり伸びない能力もあります。

ただ、あまり伸びない能力があったとしても、現代社会ではスマホやパソコンなどの便利なツールでカバー出来たりするので、能力値にでこぼこがあったとしても、自分に合った対処方法を知ることで問題にならないレベルまで引き上げられるようになったりもします。

どうしても強化出来ない能力があったとしても、他の能力値が高いのであれば、そちらを活かした仕事を選べば社会生活にも問題はそれほど起こりません。

あまり強化出来ない能力値を頑張って伸ばそうとするのではなく、強化しやすい能力値を伸ばして活かせる場所を見つけることが大事なのです。

「身の程を知る」ということわざがあります。

“高望みをするな”、”わきまえろ”というどちらかというとあまり良くない意味で使われがちな言葉ですが、全ての能力値が高い人なんてごくごく一部です。

ほとんどの人が、一部の能力値だけ高いとか全体的にパッとしないとか、能力値の存在すら気にも留めていなかったりするのだろうと思います。

自分の能力値の低い部分なんてモノは、あまり見つめたくないですからね。隠しておきたい、目を逸らしたい気持ち分かります。

そんな、ほとんどの人が避ける「身の程を知る」。

発達にでこぼこのある子からではなく、まずは自分からやってみてください。

何が得意で何が苦手なのか自分のことですら説明が出来ないのであれば、発達にでこぼこのある子の得意・苦手を見つけるのは難しいですからね。

ですから、自分の能力値や得意・苦手を見極めるところから始めてください。

苦手なところばかり目につくかもしれませんが、得意というか出来ているところもちゃんと見つけてくださいね。

改めて見ると、自分も結構でこぼこしてませんか。ちょっとびっくりするくらい。

自分にもでこぼこがあるなと気付けたなら、大事なのは、あまり無理をせず自分に合った場所に収まること、心身共に健康に過ごせる場所を見つけることだと分かるかと思います。

発達にでこぼこのある子も同じです。

苦手な能力値も無理して”普通”レベルまで上げようとするのではなく、あまり無理せず自分にあった場所に収まること、心身共に健康に過ごせる場所を見つけることが本人の幸せに繋がるのではないでしょうか。

そのためには、本人の得意とする部分を見つけてください。好きなことを伸ばしてください。

時間はかかるかもしれませんが、好きなこと、得意なことを伸ばしていく中で、伸ばした能力値を活かせる場がきっと見つかるはずです。

それと同時に苦手な能力値を”楽に”カバーする方法も探してあげてくださいね。

それほど努力しなくても出来るということが重要です。無理したら心身の健康が保てませんからね。無理ダメ絶対。

サポートする側も無理は絶対にダメです。続かなくなってしまいますし、サポートする側が心身共に疲れ果ててしまったら本人を守れなくなってしまいます。

あまり無理せず、自分に出来る範囲内で出来ることを一つずつこなしていくだけで十分ですが、疲れてきた時や不安になった時は私たちを頼ってくださいね。皆んなで一緒に支え合いましょう。

やる気スイッチを入れるには

今回は、「やる気は”スイッチ”ではなく”エンジン”だった…世界最先端の研究が導き出した「最初の5秒」の重要性」という記事をご紹介します。

発達にでこぼこのある子は、やる気スイッチが行方不明になることが多々あります。

宿題や部屋の片付けなど、やらなくてはいけない事は山のようにあるはずなのに、スマホで動画をずっと見ていたりゲームしていたりと、やりたい事の方を優先させているように見えたりします。

周囲から見る限り、”やりたい事を優先させているように見える”この状態、実は、本人が精神的に落ち着くための行動を取っているだけの場合があります。

というのも、やらなくてはいけない事が山のようにあることは本人も自覚はしているのです。宿題が出ている事も、片付けを指示された事も覚えてはいるのです。

でも、宿題も片付けも工程が多ければ多いほど、どこから手を付ければ良いのか分からなかったり、手順に曖昧な部分があったりすると、やりたくてもやれない状態に陥ってしまうのです。

宿題も片付けも、早くやらなければ叱られると身に染みて分かっていますが、やれない状態に一度陥ってしまうと、そこから自力で抜け出すのはもの凄く大変です。沼地にハマったようなもので、抜け出そうとすればするほど深みにハマります。

なかなか抜け出せない事に内心焦りますが、沼地にハマった状態で出来ることと言ったら、動画を見ることだったりゲームすること(つまり、受け取るだけだったりその場で作業するだけのモノ)だったりするわけです。

こうして、やらなくてはいけない事をやらずにやりたい事をやっている(ように見える)状態が出来上がるわけですが、そんな本人のやる気スイッチを入れるにはどうすれば良いのでしょう。

上記記事にあるように、最初にエイッと5秒だけ頑張って動くというのが出来れば良いのですが、それが出来るのは”普通の人”でもごく一部。

ほとんどの人がやらなきゃなと思いつつも、ギリギリまで後回しにしてしまっていますよね。

発達にでこぼこのある子にとっても”頑張って動く”というのは高いハードルなので、このハードルを本人が簡単に出来るところまで下げます。

そのためには、まず最初に本人が抱えているやらなくてはならない事をリスト化しましょう。

宿題があるのであれば、どれだけの種類・量があるのか、宿題をするのに必要な道具は何なのか、本人が簡単に出来そうな内容なのか、宿題をする環境は整っているか、などなど事細かく把握して本人がやる事を書き出していきます。

◯宿題をする環境を整える(机を片付ける、片付いている場所に移動するなど)
◯宿題を机の上に出す
◯宿題に必要な筆記用具を準備する
◯簡単な問題を1問解く×4個
◯少し難しい問題を1問解く×2個
◯丸付けをする
◯出来た宿題と筆記用具を片付ける

宿題一つでこんなにも書き出す事があるのかと思ったそこのあなた。

発達にでこぼこのある子が抱えている困りごとが少し窺い知れたのではないでしょうか。

本人が全部やるとなると「無理。出来ない」になりがちですが、こうして細かく分けていくと、本人が出来る事もあれば出来ない事もあり、出来るけど大変という事も混ざっているはずです。

リスト化する時は、本人には出来ないと明らかに分かっている事は入れず、ちょっと頑張れば出来そうな事を数個に、簡単に出来ると分かっている事を多めにして全部で10個以内にしてくださいね。

例え簡単に出来る事ばかりでも、やることリストがいっぱいあると、やる気スイッチが入らないどころか隠れて出て来なくなったりします。

リストが出来たら、その中から本人が出来そうな事を一つだけで良いのでやってもらいましょう。

“宿題を机に出す”だけなら始めやすいのではないでしょうか。

この”始めやすい超簡単な事をする”という部分が、上記記事の”頑張って5秒だけ動く”のと同じ効果をもたらします。

そのままやる気スイッチが入る場合もありますし、やる気スイッチが入らなくても簡単に出来る事を一つ一つやっていって、これも出来たね、あれも出来たねとリストを消していくのを繰り返していたら半分くらい進められていたとなる可能性もあります。

本人があまり頑張らなくても出来る事をやっていくのが大事で、ちょっと頑張れば出来る事は、やる気スイッチが入ったら自分からやるようになったりもします。

ちょっと頑張れば出来る事も回数を重ねるごとに慣れていき、頑張らなくても出来る事に変化したりと、出来る事を繰り返す事で出来る事はどんどん増えていきます。

今は出来ない事でも、出来る事を積み重ねていけば、ちょっと頑張れば出来るようになる可能性だってあります。

なので、出来ないところがあっても責めないでくださいね。出来たところだけで十分だと認めて誉めてあげてください。

出来ていないところではなく、出来ているところに注目すると、本人のやる気スイッチの入りやすさにも繋がるのではないかと思います。

コツコツと時間をかけて本人の出来る事を増やしていく中で、サポートする側もやる気スイッチが入らない時があるかもしれません。

そんな時は無理をせず、最低限で良いので出来る事だけをやって乗り切ってくださいね。頑張り過ぎないの大事です。

詐欺まがいに気を付けて

今回は、「『がんや発達障害治る」宣伝して未承認食品販売・一般社団法人を摘発』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこのある子を育てている保護者は、子どもが自立した生活を送れるようにと日々努力をしています。

努力し過ぎて疲れてしまっている方も多いと思いますが、そんな疲れ切っている保護者を助けたいと言いつつ金儲けを企む人たちがいます。

上記記事のような効能があるかどうか分からないモノを高値で売り付ける方法が有名ですが、最近では、発達にでこぼこのある子を育てている保護者を数千円から数万円の高額なセミナーに勧誘し、同じような悩みを持つ保護者を勧誘して来させると協力金が支払われるというネズミ講まがいの方法もあるようです。

共通しているのは、近付いてくる人たちが親切なこと。

「大変な気持ち分かる。私もそうだった」「周りの人たち誰も分かってくれないでしょ」といった甘い言葉で近付き、こちらが信頼し始めたところで、これは良いモノだからと商品を買わせようとしてきたり高額セミナーに勧誘してきたりします。

ある程度仲良くなっていると断りづらいという人としての心理にも付け込んだ手口ですが、最近ではその手口も巧妙化して来ているので、詐欺まがいのモノだと分からずに引っ掛かってしまう人も増えているようです。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、子育てはお金がかかります。

効能があるかどうかも分からない詐欺まがいの代物にお金を払うくらいなら、子どもと一緒にちょっとお高いスイーツを食べるとか、少し遠出して色んな景色を一緒に観た方がよっぽど有意義なお金の使い方ですよね。

親切にして貰ってありがたいと思う気持ちは大事ですが、お金を(しかも大金を)払わせようとして来る人物は怪しさ満載なので、勧誘された時は心を鬼にしてきっぱりはっきりとお断りしましょう。

お断りしたことでその人との縁が切れてしまうかもしれませんが、本当に親切な人というのは、それぐらいで縁を切ったりしません。金にならないと判断したから離れて行くのです。

そうやって守ったあなたの大事なお金は、いずれ子どもに引き継がれます。

また、発達障がいは治るものではありませんが、発達にでこぼこのある子が抱えている困りごとを和らげることは出来ます。

どういう方法が本人にとってベストなのか本人にしか分からないのが難点ですが、本人の様子を観察したり本人と良く話し合って試行錯誤することで、年齢とともに出来ることも増えていきます。

試行錯誤の過程で、誰かに助けて貰いたい気持ちが生まれてしまうのは痛いほどに分かります。辛い気持ちも良く分かります。

そんな時は、親切そうな顔をして近付いてお金を使わせようとして来る人たちではなく、私たちを頼ってください。私たちはお金は取りませんし、私たちの経験談が多少なりともお役に立てるかもしれません。

「行きたくない」は絶対に見逃さないで

今回は、「『わが子の登校しぶりは何日様子見をしていいか』こころの専門家の揺るぎない回答」という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、子どもから園や学校に行きたくないと言われた経験を持つ保護者は多いのではないかと思います。

子育て中の保護者が抱えがちな悩みですが、そもそも、子どもたちはどうして園や学校に行きたくないと口にするのでしょう。

園や学校で過ごす時間が楽しいものであれば、行きたくないという気持ちは生まれません。

理由はどうあれ、楽しくないから、辛いから行きたくないのです。

大人でもそうですが、行きたくない所へ行かされるというのはかなりのストレスですし、行きたくないと何度も伝えているのにも関わらず「行きなさい」としか言われないのであれば、行けという人物に対して反抗的な態度を取ったり、何を言っても伝わらないのだと無気力になったりします。

大人の場合は大人なので、表向きは何事もないように取り繕って言われた通りにしたりしますが、内心では反抗的になったり無気力になる所は子どもとそう変わりません。

では、表向きは何事もないように取り繕える大人が我慢に我慢を重ねて限界を迎えた時、どう行動するでしょう。

逃げ出そうとしたり、理不尽な目に合っていると周囲に訴えたりするのなら良いですが、限界まで追い詰められた人間は、普段なら絶対にしないだろう最悪の選択をしてしまったりします。

大人でさえそんな状態に追い込まれてしまうのです。子どもならもっと早くに限界を迎えてしまってもおかしくありません。

ですから、子どもが「行きたくない」と言えるうちに絶対に何とかしなければならないのです。

もうこれ以上追い込まれたら無理だというところにいると教えてくれたのですから、周囲の大人がやらなければいけないのは「行きなさい」と子どもをさらに追い込むことではなく、そこから助け出すことだけなのです。

では、子どもの「行きたくない」というSOSを受け取った周囲の人間はどうすれば良いのでしょう。

まずは、子どもの安全を確保するところから始めてください。

園や学校に行くことがストレスになっているのであれば、それが解消されるまで行かなくて良いという選択肢を子どもに与えてあげてください。

本人の中で、行くという選択肢しか残されていない状態と、行っても行かなくても良いという選択肢がある状態では、ストレスのかかり具合が全く違います。

それに、まだ子どもなのに強いストレスにさらされ続けた精神は、相当疲れているはずです。休ませる意味でも、園や学校はしばらくお休みしても良いのではないかと思います。

もちろん、園や学校をお休みすることで他の子たちと差がついてしまうのではないか、一度休めばずっと行けなくなってしまうのではないかと心配する気持ちは良く分かります。

ですが、考えてみてください。

これ以上追い込んだらどうなるか分からない子を、強いストレスがかかっている状態から解放してあげることよりも大切なことなどあるのでしょうか。

他の子たちとの差は時間を掛ければ埋められますし、休んだことで元気になり、行けるようになる可能性だってありますが、最悪の事態になってしまえばその機会さえ奪われてしまうのです。

周囲の大人に出来ることは、子どもの安全を確保し、ストレスの原因になっているモノを見つけて排除すること。

そのためには、本人の話を良く聞いてあげてください。

何がストレスなのか本人もよく分かっていない場合がありますが、色々と推測して話を聞いてみてください。

本人が苦手とするモノはだいたい分かっていると思いますから、その辺りを中心に探ってみると当たりを引き当てやすいのではないかと思います。

ストレスの原因になっているモノが分かったら、それを排除するために必ず動いてくださいね。

話を聞くだけで何もしてくれないし何も変わらないのであれば、次からは話すらしてくれなくなるどころか、限界に向かって本人の背中を押してしまうことにもなりかねません。

ストレスの原因が排除出来ないモノだったり、そもそも分からない場合もあるかと思います。

そういう場合でも、本人のストレスを軽減するために出来ることは色々あります。

自分のためにあれこれとやってくれる人がいる、「行かなくていい」と味方になってくれる人がいる。

そういう存在が身近にいることは、本人にとって救いになるのではないかと思います。

限界近くにいる子を見守る側も心配事や悩みが尽きないと思いますが、あまり溜め込まず、限界を迎えそうになる前に私たちに相談してみてください。同じ悩みを持つ仲間として、出来ることを一緒に考えましょうね。

学校からのプリントを持ち帰るには

今回は、「学校からの配布物をきちんと持ち帰れない…そんな子どもに親がしてはいけないこと」という記事をご紹介します。

学校で配られたプリントを持って帰るのを忘れてしまう・親に渡すのを忘れてしまうのは”普通”の子でも割と良くあることですが、上の記事にあるように、発達にでこぼこのある子は学校でプリントが配られた事自体を忘れてしまう場合があります。

プリントが配られている時間帯は、クラス全員が帰る準備をしていてザワついていたり、先生がプリントを配りながら他の事を話していたりと、ただでさえ配られたプリントに集中しづらい状況です。

そんな状況の中、プリントを受け取った瞬間に隣の子から話しかけられたり、先生から「注目してください」と声を掛けられたりすると、手に持っているプリントの存在が意識の外に押し出されてしまいがち。

とりあえずプリントはしまっておかなきゃと行動しますが、別のことに気を取られているので、プリントをどこにしまったか忘れてしまったり、プリントをしまったという行動自体が記憶からスッポリと抜け落ちてしまうというわけです。

では、どうすれば学校で配られたプリントを持ち帰って見せてくれるようになるのでしょう。

上の記事にあるように、先生にお願いするというのが最も手っ取り早くて確実ですが、出来れば最終手段として取っておきたいところ。

まずは、本人が出来そうなことを試してみましょう。

「学校で配られたプリントを持ち帰って見せてくれる」という行動を分解してみると、大きく以下の二つの行動に分けられます。

1.学校で配られたプリントをランドセルなどに入れる。
2.ランドセルなどに入れたプリントを保護者に見せる。

こうして分けてみると、どうしても本人にやって貰わなければならない事は、1だけだということが分かるかと思います。

プリントがランドセルなどに入れられさえすれば、後は家庭での声かけや、ちょっとした手伝いでプリントを発掘出来るからです。

たとえ、ランドセルなどから出て来たプリントがグシャグシャでも全然良いのです。一番大事なのは学校からの連絡が保護者に伝わる事ですから、プリントを持ち帰っただけで充分エライのです。

では、どうすればプリントを学校の机ではなくランドセルなどに入れてもらえるか。

まずは、基本の「貰ったプリントは”すぐに”ランドセルなどに入れてね」という声かけを試してみます。

この、”すぐに”が一番大事なところですので必ず伝えてくださいね。

声かけは毎日同じタイミングで繰り返します。

朝出かける時でも良いですし、ランドセルなどの中を確認した時でも良いです。

ランドセルなどの中身を確認した時、学校からのプリントが入っていたら、プリントを入れられたねと必ず褒めてあげてください。

もし、学校で配られたプリントを持ち帰っていない事が分かっても責めないでくださいね。責めてもあまり意味はありません。

本人は、プリントを貰った事自体忘れている可能性もありますし、プリントを貰った事を覚えているのなら、どうして持って帰っていないのかと自分を責めているはずだからです。

声かけを1ヶ月ほど続けてみて、5割以上の確率でプリントを持ち帰れるようであれば、最終手段の「先生にお願いする」のはもう半年ほど様子を見るか、イベントの日程など絶対に見逃せない連絡に限り、ランドセルなどに直接入れてもらうことにすれば問題はそれほど起こりません。

他にも、ランドセルなど本人が必ず目にする場所に「もらったプリントを入れましょう」というメモを貼り付けておくという方法や、「プリント入れ」と大きく書かれたファイルに入れるよう声かけをする方法もありますが、どちらも1ヶ月ほど続けてみて効果があるかどうかで判断してください。

上記サイトは、忘れてしまうという特性を持つ人たちが、忘れないためにこうしているという工夫がたくさん掲載されているサイトです。

こちらも参考に、本人に合った対処方法を見つけるサポートをしてあげてくださいね。

色んな方法を1ヶ月ほど続けてみたけれど、どうしてもプリントを持ち帰る回数が少ないというのであれば、ためらわずに「先生にお願いする」という最終手段を選択してください。

それが、本人にとっても保護者にとっても学校にとっても一番良い選択だと思います。

学校生活を送る本人もいっぱいいっぱいで大変でしょうが、サポートする側も何かと声かけや確認が必要で大変ですから、大変な事をしている本人と自分を是非とも労わってあげてくださいね。

相談したい事があったり、悩んでいる事があるなら私たちの定例会に是非参加してください。サポートする側ならではのお話が出来ると思います。

睡眠不足は万病の元(3)

今回は、前回の「睡眠不足は万病の元(2)」という記事の続編として、実際に生活習慣を整えるための具体的な方法をご紹介します。

前々回の「睡眠不足は万病の元(1)」という記事で本人の適切な睡眠時間が分かったかと思いますが、今の生活とのギャップが結構ある人もいたかと思います。

例として上の画像のような状態を挙げますが、この状態からいきなり理想とする生活習慣にしようとしても上手くはいきません。

習慣化するには移行期間を長く取る必要があるからです。

本人の睡眠時間が足りていないと分かっていても、園や学校、習い事、仕事に家事、他の家族との兼ね合いなどなど、色々な要素が絡まり合って理想とする生活習慣とは程遠い状態が続いてしまいがち。

そうすると、自分には無理なんだと思ってしまい、理想とする生活習慣にすること自体を諦めてしまう人が多いのです。

本来、習慣とは、長い時間をかけて繰り返し行動し、それが当たり前の状態になったもののこと。

ですから、ある程度生活習慣が出来上がっている状態から、理想的な生活習慣へと整えていくのは、ものすごい時間がかかるものなのだと長期戦の構えでいてください。

それでは、具体的にどうすれば良いのか。

まず手始めに、本人の1日の生活を1週間分だけ記録してください。

起床、ご飯、園や学校などのお出かけ、お風呂、就寝という簡単な記録だけで良いです。上の画像のようなものですね。

そうしたら、全ての項目で平均を取ってください。

上の画像のように平日5日は朝7時起床だけど、土日は昼12時起床だったという場合。

((朝7時×5日)+(昼12時×2日))÷7日=朝8.4時

1週間を平均すると、だいたい毎日朝8時半に起きているということになります。

実は、この1週間の平均からのズレが大きければ大きいほど、身体にはストレスがかかってしまうのです。

でも、疲れている時は、意識して睡眠時間を増やした方が良いって言ってたじゃんと思ったそこのあなた。

前々回の記事の内容をちゃんと覚えていてくださって嬉しいです。ありがとうございます。

そんなあなたに是非、思い出していただきたい大事なことがもう一つあります。

それは、「発達にでこぼこのある子にとって大きな変化はストレスになる」ということ。

平日の起床時間は、週の平均より1時間半のズレで済んでいます(これでも十分大きな変化です)が、休日は3時間半のズレとかなり大きな変化です。

これでは、増やした睡眠時間でせっかく身体が回復しても、大きな変化によるストレスで打ち消されてしまうのです。

発達にでこぼこのある子だけでなく”普通”の人にも言えることですが、休日たっぷり寝たはずなのに、何故か眠気や疲れが取れなかったという経験をした方は多いはず。

増やした睡眠による身体の回復を、変化によるストレスで打ち消してしまっていると考えると納得ですよね。

疲れを取るために睡眠時間を増やしたいのなら、土日に5時間ずつ一気に10時間増やすのではなく、毎日30分ずつ1週間で3.5時間増やしてください。

意外かもしれませんが、その方が疲れが取れます。

以上のことを踏まえて、具体的にどうすれば良いのか説明していきますね。

まず最初に、週の平均との差を”少しずつ”少なくすることを目標としてください。

いきなり大きく減らすのはNGです。続かなくなってしまいますし、大きな変化はストレスになるからです。

土日だけ起床時間が遅いなら、いつもより30分だけ早く起こします。減らした分は、睡眠時間が足りていないだろう平日に回してくださいね。

起こす時、「早く起きなさい」という声かけをする方が多いと思いますが、この声かけはあまり意味がありません。

早く起きろと言われて起きられるなら、いつだってすんなり起きてます。そうでないなら、「早く起きなさい」は本人にとってあまり意味のない声かけということです。

ですので、本人の意識より先に身体の方を目覚めさせます。

まずは、カーテンを開けたり電気を点けて部屋を明るくしてください。目への刺激ですね。

続いて、好きな音楽を鳴らす、ゲームで釣る、テレビをつける、こちょこちょする、話しかけ続ける、身体を揺らすなど、こちらがずっと続けられて本人がスムーズに起きられそうなものを試します。こちらは耳や身体への刺激。

最初のうちは起きてくれなくても構いません。土日なので気長に。

実際にやってみると分かると思いますが、「早く起きなさい!」とイライラしながら大声で叩き起こした時と、上記の方法で起こした時の機嫌の差は天と地ほどあります。

ストレスを出来るだけ減らすために少し早起きしてもらわなければいけないのですから、是非ともストレスが少ないだろう方を選択してください。

でも、いつも「早く起きなさい!」と大声で叩き起こしていたのなら、大声を止めるところから始めてくださいね。急な変化はストレスの元です。

そうやって起こすことを毎週土日に繰り返していくうちに、寝起きにグズることがだんだんと少なくなってきます。

30分早く起きることに慣れてきた証拠です。

慣れてきたら、さらに30分早く起こすようにして習慣化を目指します。

最終的には平日と同じ時間帯に起きるのが理想ですが、少しだけなら土日長めに寝ても大丈夫。

1時間くらいはいけそうな気がしますが、どれくらい長めに寝ても大丈夫かは人によるので、本人の様子を見ながら決めてくださいね。

意図的にゆっくりにしているので当然ですが、この方法で快眠の効果が出るのはゆっくりとしたものです。

ゆっくり過ぎて、本当に効果があるのか不安になったりすることもあるだろうと思います。

何事もそうですが、何のリスクもなく効果がすぐに出る方法が他にあるのなら、この世の中、睡眠不足で悩む人がこんなにも多いはずがありません。

もちろん、効果がすぐに出るお薬を出してもらうなど医療機関に頼ることも出来ますが、費用面でも長期間は頼りたくないですよね。

今回の方法は、国や医療機関が提唱していることからも、快眠に効果があると広く認められている方法です。

具体的なやり方が分からないと難しく感じてしまったり面倒だと思ってしまう方法なので、やらない選択をしてしまう人が多いですが、是非とも自分で出来そうなところから、自分に出来そうな範囲内で始めてみてください。

こんな簡単なことからで良いのかな、なんて思わないでくださいね。

どんなに簡単なことでもずっと続けるのは大変ですから、始めてみようかなと思えただけでも一歩前進です。

実際に始められたら、たくさんの人たちが諦めてしまうことをやっているのだと自分を褒めてあげて下さいね。

疲れたら途中で足を止めても大丈夫。ちょっと休んで、また歩き出せば良いのです。

一歩、また一歩と歩き続けるあなたを私たちはいつでも応援しています。

ちょっと疲れちゃったな、お休みしたいなという時は私たちの定例会にご参加ください。おしゃべりして、ストレス発散しましょうね。

睡眠不足は万病の元(2)

今回は、前回の「睡眠不足は万病の元(1)」という記事の続編として、いよいよ早く寝てもらう方法をご紹介します。

その前に一つお断りですが、今回の記事で”今すぐにでも”効果のある「早く寝てもらう方法」というものはご紹介出来ません。

今すぐにでも早く寝てもらえるようにしないと本人が心身共に壊れてしまいそうというのであれば、まずは医療機関で診てもらうのが一番ですから、そちらと並行して今回の早く寝てもらう方法も実践してみてください。

上記サイトは、厚生労働省が提唱している快眠のための一般的な方法ですが、この方法を知ってはいても、実際に実践している方・快眠に繋がっている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。

ちょっと試してみたけれど、効果が得られなかった。

生活習慣を整えているつもりだけれど、快眠には繋がっていない。

などなど、さまざまな理由で実践出来ていない・快眠に繋がっていない方が多いのではないかと思います。

では、厚生労働省が提唱している方法自体が間違っているのでしょうか。

実は、厚生労働省だけではなく医療などさまざまな公的機関が提唱しているこの方法には、一つ記載されていない大事なことがあるのです。

それは、「生活習慣を整えている」状態をずっと保たなければ”効果が薄くなってしまう”ということ。

ずっとなんて無理! と思いますよね。分かります。

上記サイトにはこういう記載もあります。

「良い習慣で体内時計を24時間にきっちりと調節すれば、規則正しい睡眠習慣が身に付いて快眠が得られます」

きっちりと調節なんて無理! と思いますよね。分かります。無理なものは無理。

でも、生活習慣のうち1個だけ、休日や祝日だけ出来れば良いよと言われたらどうでしょう?

最初は日曜日だけでも、何なら月に1回だけでも全然良いよと言われたら?

それなら出来るかも、と思いませんか?

もちろん、得られる快眠効果は少なくなってしまいますが、生活習慣を身に付けるのに一番大事なのはずっと続けられるかどうかです。

“努力”はずっとは続きません。”頑張る”も続きません。

努力しなくても、頑張らなくても出来るところから始めても全然良いのです。むしろ、楽に出来るところから始めるのが正しいやり方です。

ですので、上記サイトで提唱されている方法の中から、楽に出来そうなことを1つだけ選びます。

基準は、頑張らなくても出来そうか、ずっと続けられそうかの2点です。

以下に、簡単そうなものを簡単そうな順にご紹介していきますね。

●本人が良く過ごす部屋の灯りを白色電灯から暖色電灯に変える。

●朝、いつも同じ時間にカーテンを開けたり電気を付けたりして部屋を明るくする。

●ゆっくり湯船に浸かるなら寝る2時間前まで、さっと上がってしまうなら寝る直前にお風呂に入る。

●夜、寝る30分前からスマホなどの画面を見ない。

●夜、いつも同じ時間に寝る準備(明日の準備)を始め、いつも同じ時間に布団に入る。

●朝、昼、夜、いつも同じ時間にご飯を食べる。

●朝、いつも同じ時間に起きる。

いかがでしょう。

平日、園や学校に通っているなら出来ていることが多いのではないでしょうか。

大事なのは、これを休日・祝日にも出来るかどうか。ずっと続けられるかどうか、です。

発達にでこぼこのある子は変化が苦手です。

それをサポートする側も、いきなり全項目毎日やれと言われても難しいですし大変ですよね。

ですから、1個だけ。

しかも、本人に大きく反発されない範囲内で、サポートする側も楽に出来ることを、月に1回だけでも構わないので続けてください。

例えば、朝、いつも同じ時間にカーテンを開けたり電気を付けたりして部屋を明るくするという項目。

平日にも全く実践していないか時間がバラバラであれば、実践しやすそうな日から始めて、徐々に日数を増やしていってください。

平日は出来ているけれど、休日や祝日は出来ていないのであれば、まずは月に1回で構わないので休日や祝日も同じ時間に出来るよう習慣化を目指してください。

月に1回が習慣になったら、月に2回に増やして習慣化。

月に2回が習慣になったら月に3回、次は日曜日全部と徐々に出来る日数を増やしていって習慣化を目指します。

理想は毎日ですが、無理なら毎日でなくても構いません。

時々サボるのもありですし、疲れている時や忙しい時は他のことを優先させて大丈夫です。

もちろん、病気の時は自分の身体を最優先に。

でも、途中で完全に止めてしまうのだけはしないでください。細々とでも続けてください。

どれだけ効果が薄くても、何重にも重ね掛けしていけば、ある程度は快眠効果が得られるからです。

細々とでも続けるのが当たり前の状態になったら、他の項目もコツコツと習慣化を目指します。

もし、項目の中に出来ないことがあっても決して自分を責めないでくださいね。

発達にでこぼこのある子を見守り育てているのであれば、出来ないことを責めても意味がないことを十分に理解しているはずです。

出来ないことを無理して出来るようにするのではなく、簡単に出来ることをコツコツと増やしていってください。

出来る項目を無理して増やすより、出来る日数を少しでも増やす方がより効果的だからです。

最終目標は、毎日ルーティンのように同じ時間に同じことを繰り返す生活にすること。

そんな生活はつまらないのではと思うかもしれませんが、発達にでこぼこのある子にとって変化が少ない生活は、ストレスも少なくなる理想的な生活なのです。

何より、毎日ルーティンのように同じ時間に同じことを繰り返す生活を何年も続けていると、そのうち本人が毎日のルーティンから外れるのを嫌がるようになります。

朝、いつもの時間になったら自分でカーテンを開けたり電気を付けるようになるのです。そうしないと気が済まなくなるのです。

自然と寝る時間も早くなりますし、毎日のことなので慣れもあり、生活に関する色々なことが自分で出来るようになってきます。

そうなったら周囲のサポートも最低限となり、本人の自立も進みますし、サポートする側も劇的に楽になりますよね。

そこに至るまでには長い時間が掛かってしまいますが、出来ることをコツコツと決して諦めずに続けていけば、大きな大きな実りがきっと得られます。

行動しなければ何も変わらないどころか、ますます悪化する可能性が高いですからね。実行あるのみです。

早く寝てもらう方法が分かったところで、次回は実際に生活習慣を整えるための具体的な方法についてお知らせしますね。これ結構大事なんです。

いくら小さいことでもずっと続けるのは大変ですし、挫けそうになることもあると思います。そんな時は私たちにご相談ください。おしゃべりして、モチベーションを保てるようストレス発散しましょうね。

睡眠不足は万病の元(1)

今回は、「子どもの睡眠障害 夜型化のリスクや原因となる病気」という記事をご紹介します。

子どもの睡眠に関して、生まれた頃からずっと悩みを抱えているという方は多いのではないでしょうか。

乳幼児期は夜泣きに悩み、幼少期はお昼寝してしまって夜なかなか寝てくれないと悩み、思春期を迎える頃にはスマホやゲームに夢中で寝てくれないと悩み、朝は起こしても起こしても起きてくれない子どもに悩む。

これらは発達にでこぼこがある・ないに関わらず、子育て中の保護者が抱えがちな悩みですよね。

発達にでこぼこのある子は特に、やりたいことをやらないと気が済まないという特性も相まって睡眠時間が短くなってしまいがちです。

他にも、「やらなくてはいけないこと」と「やりたいこと」は終わっているけれど、「ストレス発散」が出来ていないという場合でも寝たがらないことがあります。

日中ずっと起きていて眠いはずなのに無理して起きているわけですから、夜が深くなれば深くなるほど機嫌は急降下。

やりたいことが終わっていない、ストレスが発散できていないという状況下で「早く寝なさい」と言われても納得出来ず、盛大な癇癪に繋がるわけです。

こう考えると、「早く寝なさい」という声かけはあまり効果がないどころか、ヘタをすると逆効果だということが分かりますよね。

では、どうすれば早く眠ってくれるようになるのでしょう。

そもそも、人はそれぞれ適した睡眠時間というものを持っています。

家族とはいえ別の人間ですから、自分が「これくらい寝れば大丈夫なはず」と思っている睡眠時間は、その子にとっては長すぎたり短すぎたりするのです。

ですから、まずはその子に適した睡眠時間を把握することから始めてください。

適した睡眠時間とは、「日中あまり眠くならない」が一つの目安になります。

中途半端な時間帯に寝落ちてしまう。

ボーッとしていていつもより頭が働いていない感がある。普段よりミスが多い。

ずっと機嫌が悪い。

こういう状態の時は睡眠時間が足りていない可能性が高いですから、本人に上記のような状態であること、睡眠時間が足りていない可能性が高いことを伝えて、1週間ほど睡眠時間を少しだけ(30分ほど)長くとってみるよう声かけをします。

もし、上記をそのまま伝えても本人が納得してくれなさそうな場合は以下のような声かけを試してみてください。

中途半端な時間帯に寝落ちたら夜眠れなくなり、寝不足になってしまう。寝不足の状態が続くと身体が悲鳴を上げてしまう。

いつもなら出来ていることが出来ないのは睡眠不足が原因かも。

イライラするのは睡眠が足りていないのかも。

どういう伝え方をすると本人に伝わるかは、身近にいる人にしか分かりませんが、本人の身体と心を一番に考えた伝え方が最も大事で効果的だと思います。

もし、これらの声かけをして本人が実践してくれなかったとしても、それは時期ではなかったというだけのこと。

本人が寝不足で体調を崩してしまった時や、メンタルが弱っている時に再び提案してみると、割とすんなり受け入れてくれるかもしれません。

睡眠時間を増やしてみて改善が見られたら、睡眠不足が原因だったということになりますから、改善が見られたことを伝えつつ、試してみてどうだったか本人に感想を聞いてみてください。

本人に、色々なことが改善されているという自覚が得られたら大成功です。

増やした睡眠時間を続けた方が良いという理屈が本人の中で出来上がります。

もちろん、年齢が上がるにつれて適した睡眠時間は変化していきます。

幼少期はたっぷり寝ないと機嫌が悪かった子が、大人とそう変わらない睡眠時間で大丈夫になってきた。

子どもの成長を感じる瞬間ですが、人は変化するものという認識が周囲にも本人にもあまり無かったりします。

ですので、そのことも踏まえて色々なことを伝えてあげてください。

今はこの睡眠時間が最適だけど、年齢が上がれば変わってくること。

ストレスが掛かっている時や疲れている時は、意識して睡眠時間を増やした方が良いこと。

眠ることでしか身体と心の疲れは回復できないこと。

身体と心の疲れをそのままにしておくと、大事な身体と心が壊れてしまうこと。

身体と心が一度壊れてしまうと、元に戻るのにものすごく時間がかかること。

一番大切なのは、本人が心身共に健康に過ごすことですから、そのことを周囲だけではなく本人にも自覚させるよう声かけを行なっていくと、いわゆる自己肯定感も上がっていくのではないかなと思います。

本人に適した睡眠時間が分かったところで、早く寝てもらう方法については次回お知らせしますね。

睡眠不足は本人だけではなく支える側も抱えがちです。あまり無理せず、溜め込まず、吐き出したい時は私たちを頼ってくださいね。お待ちしています。

防災意識は日ごろから

本日、11月5日は津波防災の日です。

今回は、川南町が公開している「災害時に手助けが必要な人のための防災行動マニュアルについて」をご紹介します。

一般的な防災マニュアルですが、確認していない方も多いと思いますので、是非この機会に避難場所など確認しておいてください。

発達にでこぼこのある子は急な変化が苦手です。

感覚の鋭い子では、緊急地震速報の大きな音に驚いて動けなくなったり、周囲の動揺を敏感に察知してパニックになってしまうことも多いです。

大きな災害が発生した時は特に環境が急激に変化するので、”普通”の人よりも強いストレスを感じてしまいます。

もちろん、普段から学校などで避難訓練は行なっていると思いますが、それ以外の場所で被災した場合については訓練していませんよね。

家庭で地震や津波などに見舞われた時や、それ以外の時はどうするのか、数年に一度でも良いですから家族全員で話し合う機会を設けてみてください。

大きな地震の後、津波警報が発令された。

家が倒壊し、避難所に移らなければならなくなった。

家族と離れている時に被災してしまった。

スマホなどの連絡手段が通信障害で使えない。

これらは大きめの災害で実際に起こったことですが、こういう事態に備えて事前に家族で取り決めをしておいた方が良いことがたくさんあります。

津波警報が出されたら、どこに避難するのか。

学校で被災した場合、本人や家族はどう行動するのか。

避難所に移らなければならなくなった時、必要なものは何か。

スマホが使えなくなった時どうするか。

各ご家庭で必要なものは違って来ますが、普段から備えているのといないのとでは大きな差が生まれます。

災害に完璧に備えるのは難しいですから、想定出来る範囲内だけでもある程度準備をしておくと安心なのではないでしょうか。

また、発達にでこぼこのある子に「こういう時はこうするよ」と事前に告知しておくと、実際に被災した場合でもスムーズに行動に移せるようになります。

9月1日の防災の日や、11月5日の津波防災の日、学校などで防災訓練があった時、実際に台風や地震などがあった時などに、こういう時はこうしますと都度都度告知をしておくと、本人も心の準備が出来ていくのではないかと思います。

他にも、発達障害情報・支援センターが公表している「災害時の発達障害児・者支援について」というサイトでは、東日本大震災の時に実際に被災した方々の経験談が掲載されています。

こちらも是非、一度は目を通してみてください。

災害はいつどこで発生するか分かりません。

いざという時のために今出来ることがあるのであれば、早め早めに行動しておくと後悔が少なくて済むかと思います。

実際に災害が発生してしまった時は、私たちがいることを思い出してご連絡ください。1人じゃないです。困難な時こそ一緒に支え合いましょうね。