今回は、「小児神経専門医が警鐘、問題生む「不登校=起立性調節障害」という誤解」という記事をご紹介します。
発達にでこぼこのある子は体質的に自律神経が乱れやすいようで、時期によっては特に体調を崩しやすかったりします。
上記記事にもあるように単純な起立性調節障がいと診断される場合もありますが、複合型の起立性調節障がいの場合は自律神経以外にも精神的なモノによる不調もあり、長期化してしまうことがままあります。
保護者としては、このままずっと登校できなくなってしまうのではないかと心配になりますよね。
不登校の子が登校できるようになるには周囲の理解が必要とよく言われますが、”周囲の理解”とはどういう状態を指すのでしょう。
起立性調節障がいや発達障がいについて知れば良いのではと思われるかもしれませんが、知識として”知る”ことと、”理解する”ことは別です。
誰もが”知っている”だろう内閣総理大臣で例えてみますね。
内閣総理大臣のことはテレビで良く見るから知っているけれど、内閣総理大臣が具体的にどういう仕事をしているのか実際には見たことがないし良く分からない。内閣総理大臣が大変そうというのは何となく分かるけれど、何が大変なのかは内閣総理大臣になったことがないから分からない。
つまり、“知る”ことはある程度出来ますが、”理解する”ことは当事者にならない限り難しいということ。
頭痛も腹痛もめまいも、本人が感じている不調は本人にしか分からないモノです。
不登校になった経緯も本人にしか分からないモノですし、ヘタをすると本人も分かっていなかったりします。
そんな中で周囲の人間が出来ることは、本人の話を良く聞いて、本人が望んでいない事をしないこと。させないこと。言わないこと。
つまり「何もしない」です。
そんなことで登校できるようになるわけがないと思われるかもしれませんが、今までにも色々と試しましたよね。
やれることは全部やってみたけど変わらなかったんですよね。
なら、「何もしない」もやってみましょう。1週間でも数日でも良いですから。
本人にも本人が望んでいないことは「何もしない」「何もさせない」「何も言わない」宣言して、守られなかったらレッドカードを出してもらうようにもしましょう。
「何もしない」くらいで何かが変わるわけがないと思われるかもしれませんが、実際にやってみると「何もしない」が相当難しいと分かるはずです。レッドカード出されまくりのはずです。
こんなことでもレッドカードになってしまうのか。
こんなにもイヤだと思っていたことがあったのか。
「何もしない」がこんなにも難しいのはどうしてだろう。
そうやって「何もしない」ことで見えてくるモノを”理解”していくことで、周囲も本人もちょっとずつ楽になるのではないかと思います。
騙されたと思って「何もしない」を試してみてくださいね。
そして、少しでも良さを感じられたなら続けてみてください。苦しくて難しいだろうと思いますが、本人と、何より自分自身のためにも是非。
学校に行けるかどうかは学校側の問題もあるでしょうから難しいかもしれませんが、一番身近な人たちが「何もしない」ことで精神的に安定し、少しだけなら、午後になら、保健室になら行ってみようかなと本人から言ってくれるようになる可能性はあります。
少しだけでも学校に行こうと思えるようになったのなら、「何もしない」は大成功です。でも、焦りは禁物。
焦らずゆっくりじっくりと、ちょっとずつ学校の時間が増やせるよう、家庭で成功した「何もしない」を学校側にもお願いしてみてください。
一進一退でジリジリとした時間が続くかと思いますが、どうか焦らず。
そうやって「何もしない」で自分のペースに合わせてくれる人たちがいるのは、本人にとっては心強いのではないかなと思います。
そうは言っても「何もしない」のは不安で仕方がないと思います。不安に押しつぶされそうな時は私たちと共有してくださいね。私たちも同じ不安を抱えていますから、支え合いましょう。