今回は、『「友達いない自分認め救われた」発達障害、学校生活振り返り語る 岐阜・大垣で西川さん』という記事をご紹介します。
友だち100人出来るかなという童謡がありますが、子どもが園や学校へ行くようになると、お友だちが出来るか、みんなと仲良く遊べるか心配する保護者は多いと思います。
入園や入学してしばらく経っても本人の口からお友だちの話はあまり出てこないけれど、それなりに楽しく通えているようで安心していた。
ところが、参観日に園や学校へ行ってみたら、本人は教室の隅っこでずっと本を読んでいてお友だちとは遊んでいない様子だった。
帰ってから本人に「お友だちとは遊ばないの?」と聞いてみたら、「本を読んでいる方が楽しいから」と返って来て、このままではお友だちが出来ないのではないかと心配になり、「本ばかり読んでないでお友だちとも遊んだら?」とアドバイスした。
このような保護者も多いかと思いますが、少し待ってください。
そもそも”お友だち”とは、一緒に過ごす中で自然と仲良くなった子のことを言います。
共通の話題で盛り上がれる、一緒にいて楽しい、ずっと一緒にいても疲れないなど、仲良くなる理由は様々ですが、”お友だち”は作るものではありません。いつの間にか自然とそうなっているのです。
本を読んでいる方が楽しいと感じている子に、それほど仲良くもない子と遊ぶようにと言うことは、楽しいことを止めて楽しくないことをやれと言っているようなものです。本人から嫌がられるに決まっています。
嫌がるならまだ良い方で、保護者に言われたからと気が合わない子とも無理してお友だちになったり、なかなかお友だちが出来ないことやお友だちの数が少ないことを気に病んでしまう子もいるかもしれません。
もちろん、お友だちがいた方が良いだろうことは分かります。
人は一人では生きていけません。多かれ少なかれ、家族以外の誰かと関わりながら生きていくことになるのです。
家族以外に気兼ねなく付き合えるお友だちがいれば心強いでしょうし、家族に相談し辛いことも、仲の良いお友だちになら打ち明けられるかもしれません。
同年代の子同士なら悩み事の相談にも乗ってくれるでしょうし、本人が頼られる側にだってなれるでしょう。
でもそれは、本人とその子がお互いに”一緒にいても苦痛ではない”という条件の下で成立するものです。
もちろん、たまにはケンカもするでしょうし、疎遠になってしまうこともあるでしょう。
苦痛が全く無いというわけにはいかないとは思いますが、それでも一緒にいても苦痛ではないのであれば、いつの間にか仲直りしていたり、またつるむようになったりするものです。
つまり、“お友だち”は保護者が強制してどうこうなるものではないのです。
それでも、どうしてもお友だちを作って欲しいというのであれば、本人の好きなことが出来るところへ連れて行ってあげてください。
本が好きなのであれば図書館、電車が好きなら電車が見えるところ、魚が好きなら水族館や海や川へ、動物が好きなら動物園や動物と触れ合える場所へ。
そうやって何度も同じ場所に連れて行ってあげていると、その場所で何度か顔を合わせる人が必ずいるはずです。同じような子連れの人が。
何度か顔を合わせて顔見知り程度にはなっているでしょうから、まずは保護者から、保護者同士でお知り合いになってください。保護者同士が仲良くお話ししていると、いつの間にか子ども同士でも仲良くなっていたりします。
同じ趣味を持っているのです。気が合えば長い付き合いになる”お友だち”になってくれるかもしれません。
もちろん、同じ趣味を持っていても気が合わない場合もありますから、”お友だち”になれなかったとしてもガッカリしないでくださいね。
同じ趣味を持っているのはその子だけではないのですから、本人と気が合う子をゆっくり時間を掛けて探してあげてください。
同じ趣味で盛り上がれる”お友だち”がいれば、園や学校では”お友だち”がなかなか出来なくてもきっと大丈夫。
一人でも平気、というより一人の方が良いという子もいますので、なかなか”お友だち”が出来なくてもあまり心配はしないでくださいね。
大人になったらそれなりに人付き合い出来るようになったりします。
園や学校は、集団生活を通して他人とのコミュニケーションを学べる場ですが、他人とコミュニケーション出来るようにならなければならない訳ではありません。
コミュニケーションが苦手なら苦手なままでも良いのです。苦手なことを心身共に壊れそうになりながら出来るようにする必要はどこにもありません。
苦手だと知ることが大事で、苦手だからこそ出来ることや、避けた方が良い環境などが分かるようになることこそが、園や学校で学ぶべきことなのです。
園や学校で学ぶことが全部出来るようになる人なんてほんの一握り。
本人の苦手なことは最低限でヨシとし、得意なことや好きなこと、出来ていることが伸ばせるようにサポートしてあげてくださいね。
“お友だち”候補には私たちも是非加えてください。全く同じではないかもしれませんが、似たような悩みを持つ者同士、分かり合える部分も多いのではないかなと思います。