癇癪(かんしゃく)はイヤイヤ期の再来

今回は、『「あと5分だけだよ」発達障害の子が持つ「強いこだわり」…大人が勝手に「終わり」を決めるのが大間違いな理由』という記事をご紹介します。

“魔の2歳児”という言葉があります。

イヤイヤ期とも言われ、何を言っても「イヤ!」としか返さない。自分の思い通りにならないと道路であっても寝転がって動かなくなる。まだ出来ないことでも自分でやりたがり、出来ないと大泣きする。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、我が子がこのような状態になってしまった経験を持つ保護者は多いのではないかと思います。

このイヤイヤ期。

発達にでこぼこのある子は、ある程度大きくなっても出て来てしまうことがあります。

こだわりを邪魔されたことによる癇癪(かんしゃく)だと言われますが、イヤイヤ期に戻ったと言われた方が納得出来る保護者も多いのではないでしょうか。

身体が大きくなっているのだから(もう◯歳なのだから)イヤイヤ期ではないだろうと思われるかもしれません。

でも、発達にでこぼこのある子は、”発達にでこぼこがある”のです。身体の成長と同じように中身も成長しているとは限りません。

では、イヤイヤ期に戻ってしまった子は中身の成長がそこで止まってしまっているのかというと、そうではありません。

そもそもイヤイヤ期は、自我が芽生え始めた2歳頃に起こる成長の証ともいえるモノです。

保護者は大変ですが、色んな主張をし始める時期でもあるので、我が子の成長を実感出来る場面も多かったのではないでしょうか。

発達にでこぼこのある子も同じです。

イヤイヤ期に戻ってしまったのは、本人の中で年相応に成長出来ていなかった部分が今まさに成長しようとしているから。

本人のどの部分が成長しようとしているのかは、周囲も、本人ですら分からないだろうと思いますが、イヤイヤ期が出て来た=本人の中で成長しようとしている部分があるんだなと考えると、本人も周囲も少しは心穏やかでいられるのではないでしょうか。

では、イヤイヤ期が出て来ている本人にどう対処すれば良いのでしょう。

本人が2歳の頃の「本家・イヤイヤ期」にも上手くいった対処方法が恐らく有効だろうと思いますが、どうやっていたか覚えていないだとか、振り回されるばかりで大変だった記憶しかないという場合は、目の前にいる本人が何歳であっても今は2歳児でありイヤイヤ期なのだと考えて対応すると良いのではないかと思います。

もちろん、幼児扱いしろと言っているのではありません。それでは本人の尊厳が傷付けられてしまいます。

本人の中で年相応に成長している部分と、今まさに成長しようとしている2歳児の部分が混在しているのです。本人だって混乱しているはずです。

まずは本人に、本人の中で成長しようとしている部分が出て来ていること、そのせいでイライラするし上手くいかないと感じているのだと教えてあげてください。感情がコントロール出来ず、癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうのもそのせいだと。

そして、どうすれば心穏やかでいられるか本人に聞いてください。

スマホで動画を見ている間は落ち着いていられる。本を読んでいる間は落ち着ける。一人になった方が落ち着ける。

落ち着ける方法は人それぞれですが、ずっとそうしていられるわけではありません。やらなくてはいけないことがあることは、本人だって分かっているはずです。

やらなくてはいけないことがあると分かっていると本人にも確認が取れたら、どれくらいの時間があれば落ち着いて切り替えられそうかを本人に聞いて、タイマーもセットします。

そこまでやったら、後は本人に任せてください。

タイマーが鳴って、本人が切り替えられていなくても出来るだけ声は掛けないでください。

切り替えられていないのは、本人の中で2歳児がダダをこねているからだろうと思いますが、年相応に成長している本人が何とかしようとしている時でもあります。周囲が声をかけると邪魔になってしまうかもしれません。

それに、2歳児は手強いことを保護者ならイヤと言うほど知っているはずです。思う通りになるものではないことも知っているはずです。

大人でも対応に苦労する2歳児を、まだ年若い本人がそうそう上手くコントロール出来るはずもありません。

頑張ってみたけれど、切り替えが上手くいかない。

そうなると、切り替えたくない本人の中の2歳児が、切り替えようとしていた年相応の本人を押し退けて表に出て来てしまいます。

結果として、切り替えられなかった年相応の本人と、切り替えたくない本人の中の2歳児が混ざり合って癇癪(かんしゃく)へと繋がってしまいますが、その経緯が分かっていると本人を責められるはずがありませんよね。

切り替えようって頑張ったんだよね。大丈夫。最初のうちは出来なくて当たり前なんだよ。少しずつ出来るようになれば良いからね。

そんな励ましの言葉をかけてあげると、年相応の本人も自分の中の2歳児のコントロールに前向きになれるのではないかと思います。

イヤイヤ期の子どもは大人でも対応に苦労しますが、イヤイヤ期だと分かっていれば対処方法も探せます。2度目ともなればなおさらです。

“もう◯歳なのだから”と周囲も本人も思い込んでいると、本人の中で成長しようともがいているイヤイヤ期の2歳児を見逃してしまうかもしれませんし、対処方法を誤ってしまうかもしれません。

1度目のイヤイヤ期は大変だった記憶しかないという保護者は、2度目や3度目のイヤイヤ期は、1度目のイヤイヤ期を懐かしく思い出しながら、成長を感じさせる本人と一緒に乗り越えていってくださいね。

そうは言ってもイヤイヤ期は大変です。

本人にも休息が必要でしょうが、サポートする側も息抜きは必要です。息抜きしたい時は私たちの定例会にご参加ください。お待ちしております。