今回は、『大人の発達障害「単純ミス連発」「マルチタスク無理」のサポート法』という記事をご紹介します。
上記記事は”大人の”とありますが、ミスし辛い環境にするという方法は発達にでこぼこのある子にも効果があるのでオススメです。
子どもがやりがちなミスとして、「ポットのお茶をコップに注ごうとして盛大にこぼす」を例として挙げてみますね。
そもそも、「ポットのお茶をコップに注ぐ」が”出来る”ようになるまでにはいくつかの段階があります。
1.お茶が入ったポットを持てる(持っても重さで腕がプルプルしたりしない)
2.ポットの注ぎ口をコップに近付けられる(コップを倒さないようそっと近付けられる)
3.ポットを傾けられる(持ったまま腕を上げていられる、重さで腕がプルプルしたりしない)
4.ゆっくりお茶を注げる(少しづつ出るようポットの傾き調整が出来る)
5.ポットを傾けたままコップに注がれていくお茶の量を確認出来る(ポットから目を離しても傾きの角度を変えずにいられる・傾きの角度を調整出来る)
6.コップがいっぱいになる前にお茶を注ぐのをやめられる
出来る人は無意識にやっていると思いますが、「ポットのお茶をコップに注ぐ」という動作一つだけでも、こんなにも段階があるのです。
そして、この中の一つでも”出来ない”ことがあると、「ポットのお茶をコップに注ごうとして盛大にこぼす」ことになります。
では、どうすれば”出来る”ようになるのでしょう。
まずは、「ポットのお茶をコップに注ごうとして盛大にこぼす」子がどこでミスしているのか、本人を良く観察してみてください。
まだ小さい子であれば、ポットの重さがミスの原因になっていることが多いです。
大人なら簡単に持ててしまう重さでも、小さい子にとっては重過ぎるのかもしれません。本人が持った時や傾けている時にプルプルしているようなら、重さを減らしてあげてください。
ポットの重さは問題なさそうという場合は、他に何か気にかかる事があったり考え事をしていて目標を見誤ることが多いです。
テレビを見ながら注いでいたとか、注ごうとしている時に誰かから話しかけられたとか、意識や注意がポットやコップから外れた時にミスをしやすくなります。
他にも、ポットの注ぎ口とコップまでの距離感が測れていない、コップがポットや自分の腕で見えていない状態で注ごうとしているなど、考えられるミスの原因はいくつかあります。
本人を良く観察して、どういう理由でミスをしがちなのか原因が分かったら、それを本人にも伝えてください。
ミスの原因が分かっていれば本人も気を付けようとしますし、距離感が分からないなど本人がまだ上手く出来ないことであれば、上手に出来るようになるまでこぼしても良い環境で練習するなど対処方法もいくつか生まれて来ます。
テレビを見ながらポットのお茶をコップに注ごうとしているなら、「コップを見ようね」と声掛けをするなど、周囲がサポートすることで避けられるミスもあります。
もちろん、ずっとサポートしなければならないわけではなく、年齢が上がるにつれて声掛けしなくても良くなったりしますので、本人の成長に合わせて”出来る”に繋がるサポートを臨機応変にしてあげてくださいね。
そして、「ポットのお茶をコップに注ぐ」が出来るようになってきたら、出来るようになってきたねと褒めてあげてください。
褒められることで”出来る”確率が上がりますし、他の事も出来るようになりたいというモチベーションにも繋がります。
それから、最も重要な事が一つ。
本人がミスした時は出来るだけ怒らないでください。
何度もこぼす本人に苛立つ気持ちは分かりますが、ミスして一番落ち込んでいるのは本人です。
それに、ミスしたら怒られるという状況では、緊張や不安感から次のミスに繋がりやすくなってしまいますし、また出来なかったと自己肯定感を下げることにもなりかねません。
なので、出来るだけ怒らず冷静に、「大丈夫」と言ってあげてください。そして、こぼしたお茶は自分で拭くよう指示してください。
カーペットにまでこぼれてしまっていても、カーペットを掃除する良い機会だと言ってあげてください。思ってあげてください。
そうやって自分にも言い聞かせることで、苛立ちも少しは和らぐのではないかなと思います。
どうしてもイラついてしまうという場合は、掃除や後片付けが楽になるよう環境を整えると良いのではないでしょうか。
本人がお茶をこぼした時に苛立つのは、”出来ない”からではなく、掃除や後片付けが大変だからではありませんか?
カーペットなどお茶をこぼされたら困るモノは取っ払ってしまいましょう。掃除や後片付けしやすい素材に変えましょう。
本人でも掃除や後片付けが出来る環境なら、お茶をこぼしても掃除や後片付けをするのは本人ですし、周囲がそんなに苛立つことも無いですよね。
このように、ミスし辛い環境に整えるのと合わせて、ミスをカバーしやすい環境も整えておくと、本人も周囲も楽になれるのではないかなと思います。
ミスの原因や環境の整え方が分からない時は私たちにご相談ください。似たような事例を一つくらいはご紹介出来るかもしれません。