“イヤな音”を想像してみよう

今回は、『子どもの発達障害で多い“五感の感覚過敏”、理解したい「世界の感じ方の違い」』という記事をご紹介します。

学校の黒板にチョークで文字を書こうとして”イヤな音”が鳴ってしまったという経験をした方は多いのではないかと思います。

あの「キーッ」という音を思い出すだけで背筋がゾワゾワしてきますが、あの音を”イヤな音”だと思わない人がいるとします。

あの音をイヤだと思わないわけですから、キーキー鳴っていようがお構いなしに黒板に文字を書き続けますよね。

聞かされる方はどうでしょう。耐えられないと思いませんか?

やめて欲しいと言ってやめてくれるのなら良いですが、その人は”イヤな音”だとは少しも思っていないのです。やめてくれない可能性もありますし、この世の中にキーキー鳴るチョークしかないという場合は、耳をふさいでしまうか、その場から逃げ出すか、他の音でかき消すしか方法はありません。

この”イヤな音”。

“普通”の人にとっては何でもない音であっても、発達にでこぼこのある子にとっては”イヤな音”だったりすることがあります。

何が”イヤな音”なのかは本人にしか分かりませんし、本人が感じている辛さも本人以外誰にも分かりません。

でも、黒板のあの”イヤな音”がずっと鳴っているようなものと言われたら、本人の辛さが少しは分かるのではないでしょうか。想像するだけでしんどい。

耳をふさいだり逃げ出したり大声で叫ぶのは、本人にとって”イヤな音”が聞こえているからなのかもしれません。

どういう場面で耳をふさぐのか、逃げ出すのか、大声で叫ぶのか、しっかりと本人を観察してみてください。

そして、本人が毎回必ず耳をふさいだり逃げ出したり大声で叫ぶ場面が見つかったら、その場面でノイズキャンセル機能付きのイヤホンやイヤーマフなど、”イヤな音”を聞こえにくくするアイテムを試してみてください。

本人が落ち着くようなら”大当たり”です。

“イヤな音”が聞こえていたから耳をふさいでいたのです。逃げ出していたのです。大声で叫んでいたのです。

逃げ出したり大声で叫ぶなどは問題行動とみなされがちですが、本人の立場になって考えると逃げ出す気持ちも大声を出す気持ちも分かりますよね。

このように、発達にでこぼこのある子が抱えている”困りごと”が分かると、対処方法さえ見つかれば本人も周囲も一気に楽になります。

発達にでこぼこのある子は感覚過敏な場合が多いです。

手を繋いでいられない、抱っこを嫌がる、晴れた日にはお外に出たがらない、雨の日は不安定になる、お風呂を嫌がるなどなど、感覚過敏だからこその”困りごと”がたくさんあります。

逆に、喉の渇きが分からず熱中症になりやすい、ケガをしていても気付かない、テレビの音を大きくしがち、疲れているはずなのに寝ようとしないなど、感覚が鈍いことによる”困りごと”もあります。

“困りごと”の原因が何なのか分かれば良いですが、分からない場合も多いです。

原因が分からなければ対処方法も分からず、分からないことだらけで挫けそうになってしまうかもしれませんが、試行錯誤の日々を積み重ねているうちに、ある日突然突破口が見つかることもあります。

ですので、諦めずに試行錯誤を続けてくださいね。細々と続けるのでも全然良いのです。

疲れた時はゆっくり休んでください。無理はしないでください。

継続は力なりという言葉がある通り、継続してさえいれば何かしらの道がきっと見えて来ます。

どの方向に行けば良いのか分からなくなったり、進むべき道が全く見えない時は私たちにご相談ください。私たちも試行錯誤し続けている仲間です。一緒に歩いて行きましょうね。