専門家に頼ろう

今回は、『「着替えができない」「なわとびがとべない」不器用すぎるDCD (発達性協調運動障害)のある子どもたち』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、人間の発達には段階があります。

母子手帳にも月齢ごとに記入する欄がありますが、それを見ると分かるように、発達の段階で出来ることが変わってきます。

「1歳6ヶ月の頃」だと「ひとりでじょうずに歩く」だったのが、「2歳の頃」だと「走ることができる」になっているように、心身の成長に合わせて発達の段階が変わるのです。

ここで大事なのは、出来ることが変わっていくのは”心身の成長に合わせた発達の段階”によるものであり、”年齢”ではないということです。

2歳になったから「走ることができる」ようになったわけではなく、心身ともに成長したから、発達の段階が「走ることができる」に到達したのです。

母子手帳には「4歳の頃」のところに「お手本を見て十字が描けますか」という項目がありますが、5歳でもお手本を見て十字が描けないのであれば、発達の段階がそこまで到達していないということになります。

では、「お手本を見て十字が描ける」ようにするにはどうすれば良いのでしょう。

まず、その前の「3歳の頃」の欄にあることが全て出来ているかどうか確認をしてください。

「3歳の頃」の欄にある「クレヨンなどで丸(円)を書きますか」が出来ていないのであれば、「お手本を見て十字が描ける」は発達上さらに上の段階なので出来なくて当然ということになります。

その他の「3歳の頃」に書かれている項目も、出来ていないことがあるのであれば、「お手本を見て十字が描ける」の段階に行けない原因となっている可能性はあります。一見関係なさそうであってもです。

母子手帳に書かれた「3歳の頃」の項目にも出来ていないことがあることを確認した5歳児の保護者が次にするべきことは、気に病むことでも全ての項目が出来るようになるまで本人に強要することでもありません。

次にするべきことは、病気や障がいなど本人が何かしら抱えているのではないかと疑って確かめることです。

もちろん、ただ単に発達が少し遅れているだけの可能性はあります。

ですが、違和感が少しでもあるのであれば、小児科の先生や発達センターなどに相談してください。

人間は経験から判断する生き物です。今までの経験の中に当てはまらない何かを感じると、違和感を感じたりカンが働きます。

何もなければそれはそれで良いですし、腕に腫瘍が見つかったりすれば治療を開始できます。発達にでこぼこがあると分かれば早めに療育を始められますから、本人のためにも保護者のためにもなりますよね。

一番避けたいのは、本人が適切な治療や療育を受けられないまま成長し、命に関わるような事態になったり身体的な障がいが残ったり、出来ないことがどんどん増えることで自己肯定感が育たず、うつなどの二次障がいを引き起こすことです。

そうなる前に、本人が治療や療育で成長出来るよう専門家に手助けを頼んでください。

保護者が出来ることもたくさんありますが、ことわざにも”もちはもち屋”とあるように、専門家に頼んだ方が良いこともたくさんあります。

特に、「お手本を見て十字が描ける」などの身体を動かすことに困りごとを抱えている場合、専門家しか対処出来ないことも少なくありません。

数年単位で身体のしくみを専門的に学び、月に数十人、トータルで何百人と患者さんを診てきている専門家に任せてしまった方が安心ですし、本人が成長するスピードも上がるのではないでしょうか。

保護者も、専門家に診てもらって本人が何故出来ないのかを知り、本人の身体のことを教えてもらうことで本人との関わり方を学べば、本人も保護者もつらく苦しい思いをせずに済みますよね。

体面や外聞を気にしたり、病院などに連れて行くのが面倒だからと何もしない場合、その後に待っているのはもっと大変な事態です。

出来ればそうなる前に、専門家へと繋がってください。

もうすでに大変な事態になってしまっていても遅くはありません。今からでも大丈夫。間に合います。

専門家へどうやって繋がれば良いか分からない時は私たちにご相談ください。私たちも似たようなことで困った経験がありますから、少しは手助け出来るのではないかなと思います。