自分大事に

今回は、『起床できず休みがち』という記事をご紹介します。

子どもの“朝起きられない”問題は、発達にでこぼこがある・ないに関わらず多くの保護者が抱えがちな悩みですが、色んな原因が考えられることから単純明快な答えが導き出せない問題でもあります。

では、朝起きられない子は、どのような原因を抱えていると考えられるのでしょう。

まず第一に、単純な睡眠不足が考えられます。

前日の夜に遅くまで起きていた。前日に運動会などがあり、深く眠りはしたが身体の疲労がまだ残っているなどの場合です。

普段は朝起きられているという子の場合は、単純な睡眠不足は毎日の生活習慣を整えることで解消されることが多いです。

変な時間に寝ないようにしたり、しばらくの間、少し早めに寝るようにすることで睡眠不足は解消されていきます。

次に、脳の慢性的な疲労による睡眠不足が考えられます。

人は眠っている間に脳や身体を回復していますが、脳や身体が過度に疲れていると、睡眠による回復が追い付かず、疲れが残ったまま起きることになってしまいます。

身体の疲れは激しい運動を避けることで回復が出来ますが、脳はそうはいきません。

起きているだけでも脳は結構な勢いで稼働しているからです。

目を閉じて視覚情報を遮断すれば、起きていても脳を安静に近い状態に出来るかもしれませんが、そうなると何も出来ませんよね。

脳に疲れが残っている状態で稼働しているのですから、パフォーマンスは落ちますし、いつもならしないようなミスもしてしまうかもしれません。

やる気も出ないでしょうし、集中力も低下。イライラしたりもするでしょう。

そういった感情の揺れは、良い悪いに関わらず脳に負担を掛けます。

ただでさえ疲れが残っている脳に、さらなる負担が掛かるのです。睡眠による回復が追い付かず、慢性的に疲れが残っている状態になってもおかしくありませんよね。それどころか、疲れが蓄積していく可能性だってあります。

そうやって脳の慢性的な疲れが少しずつ蓄積されていき、ある一定のレベルを超えてしまうと、ある日突然、どうやっても”朝起きられない”状態になってしまうというわけです。

さて、ここで気付いた方も多いのではないかと思いますが、睡眠不足の人が抱える「パフォーマンスが落ちる」「ミスをする」「やる気が出ない」「集中力の低下」「イライラしている」などの現象は、発達にでこぼこのある子にもよく見られる現象です。

つまり、発達にでこぼこのある子は基本、脳に疲労が溜まっていると考えた方が良いということになります。

では、脳の疲労を解消するにはどうすれば良いのでしょう。

脳を唯一回復させる方法である睡眠が最も重要となってきますが、そもそもしっかりと眠れているのであれば、回復が追いついていて脳の疲労は少しずつでも減っていき、最終的には健全なレベルになっているはずです。

そうはなっていないということであれば、回復よりも疲労の方が量が多いということになります。

まずは、疲労の原因となっているモノを取り除き、脳に負担を掛けない。次に、しっかりと眠る。

これをやって初めて、疲労よりも回復の方が上回る良いループに入れるのです。

脳に負担を掛けないためには、本人にとって感情が大きく揺さぶられてしまうようなモノ(イヤなことや怖いモノ)に触れないこと。自分でもどうしようもない脳の疲労による「ミスをする」「イライラしている」などの現象を誰からも(本人自身も含めて)責められないこと。

そして、大きな感情の揺れは良いモノでも脳にとっては負担になってしまうので、大きく興奮するようなモノは避け、小さな幸せを積み重ねることです。

こういったことをやったとしても効果として現れるのか分からないからと、やらない選択をする人も多いですが、良いループに入れば、「ミスをする」「イライラしている」などの現象はしっかりと消えていきます。

脳に蓄積された疲労度にもよりますが、脳に負担を掛けないようにしているつもりなのに1ヶ月経っても何も変わらないのであれば、そもそもの原因を見誤っている可能性が高いです。

そんな時は、本人の話を改めて良く聞き、本人の様子をしっかりと観察し、何が本人の脳に負担を掛けているのか推測を立て直してください。そして、その推測に基づいて行動を起こしてください。

それを繰り返すことで、いつかきっと原因を突き止められます。現状を変えられます。

必要なのはただ一つ。諦めずに続けるための根気です。

こう言うと根性論かと思われるかもしれませんが、全く違います。

一般的な根性論が「根性さえあればどんなにハードなことでも乗り越えられる」という”ガンガン行こうぜ”的なモノだとしたら、ここで提唱しているのは「疲れたらしっかり休んで回復したらまた歩き出そう」という”自分大事に”なモノです。

大変な現状を早く何とかしたいという気持ちは分かりますが、頑張り過ぎて倒れてしまっては意味がありません。続けられなければ、途中で諦めてしまっては意味が無いのです。

ですので、頑張らなくても続けられる方法を探してください。疲れたらしっかりと休んでください。

困ったり行き詰まった時は私たちにご相談ください。一人では解決できなかったことも、私たちに相談することで解決の糸口が見つけられるかもしれません。