感受性をコントロールしよう

今回は、『「普通」を求める学校、部屋にこもった日々 演出家・宮本亞門さんからあなたへ』という記事をご紹介します。

小学校・中学校という義務教育の期間中、学校生活が息苦しくなってしまう子は発達にでこぼこがある・なしに関わらず多いと思います。

息苦しさを感じてしまう理由は、感受性が豊かで繊細な子だから。

他人と自分との違いに気付きやすかったり、他人の感情に影響を受けやすかったり、周囲が求める”普通”になろうと一生懸命だったりするのは、その子が持つ強みでもありますが、周囲に振り回されてしまうので疲れやすくもあります。

それなら周囲に振り回されないようにすれば良いのでは、と思われるかもしれませんが、そう簡単な話でもありません。

感受性を自分である程度コントロール出来るようになるには、たくさんの経験を積まなければならないからです。結構な時間がかかります。

子どものうちは全力で受け止めてしまうので、周囲に振り回されまくって感情のジェットコースターを味わい、ぐったりするまで疲れるか、もうイヤだと癇癪(かんしゃく)を起こしてしまったりもします。

自分が感受性が豊かなことに気付いていなかったりするので、元気で楽しそうに毎日を過ごしている同級生たちを見て、自分との違いに落ち込んだりもするでしょう。

人が多ければ多いほど色んなものを感じてしまうので、感受性の豊かな子にとって学校という場所は鬼門とも言えます。

では、感受性が豊かな子は学校へ通えなくなっても仕方ないのかというと、そうではありません。

感受性が豊かな子でも通えるよう、本人側と学校側がお互いに歩み寄る必要があります。

まず、感受性が豊かな本人側は、自分が感受性が豊かなのだという自覚を持つことから始めましょう。

学校が息苦しく感じるのもそのせいで、他の子たちが元気で楽しそうに学校生活を送っているのもそのせいで、自分がそういう気質なのは自分に悪いところや劣っているところがあるからではないという自覚を持たせてください。

そして、本来なら自分や他人の周囲には薄い見えない壁があり、他人の感情はその見えない壁で防がれて自分には少ししか届かないはずが、今の自分の状態はむき出しに近く、だから他人の感情に影響を受けやすいのだと説明してあげてください。

そうなると、じゃあ壁を作って防ごうという話になると思いますが、ここで大事なポイントが一つ。

自分の周囲に見えない壁を作る時は”薄く”作ることを心掛けさせてください。他人の感情だけが自分の中に勝手に入って来ないようにするイメージです。

感受性の豊かな子は、他人に傷付けられた経験から自分の周囲に高く分厚い壁を何重にも作りがちです。

誰も信用しません、近付けさせませんとアピールしているようなものなので、お友だちになりたいなと思ってくれた子も近付けなくなってしまいます。

人付き合いが面倒でお友だちは必要ないという子なら良いのですが、お友だちが欲しい子なら自分の周囲に作る壁は”薄く”した方が良いでしょう。

そうやって本人が”薄い”壁を試行錯誤しながら作る間、周囲は本人が学校へ行くというか外に出るだけで相当疲れるということを理解してあげてください。労ってあげてください。

そして、学校側には本人が感受性豊かな子であること、そのせいで傷付きやすく、疲れやすい子であることを伝えてください。

そうすれば、担任の先生も多少なりとも配慮してくれるでしょうし、配慮してもらえなかったとしても、発熱などの体調不良以外で学校をお休みする本人の心理的な負担が減ります。

先生側に”疲れやすい”という理由が伝わっているからです。

何の理由もなく学校へ行かないという選択をするのは、子どもにとって大きな負担です。子どもは学校は行かなければならないもの、行かなければダメな子扱いされるものだと思い込んでいます。

学校をお休みするために本当は痛くないのに頭が痛いとかお腹が痛いと嘘を吐くと、嘘を吐く自分に嫌悪感を抱いて自己肯定感が下がってしまったりするので、”すごく疲れてしまっているから”という理由で学校をお休みできるのは本人にとって心強いのではないでしょうか。

夏休みが終わって学校が始まったばかりの今、子どもたちは誰しも疲れが見え始める時期です。

「学校に行きたくない」という言葉が子どもから出て来る前に、久々の学校で疲れちゃうよねと本人を労ってあげてくださいね。それだけで救われる子もきっといます。

そして、夏休みを乗り越えた保護者の皆さまもお疲れのはず。本人と一緒に自分も労ってあげてくださいね。

息抜きをしたい時は私たちにご相談ください。夏休みを乗り越えた同志の私たちがお待ちしております。