ストレス耐性を身に付けるには

今回は、『どんなストレスにも強い「なんとかなる力」を持っているのはどんな人?』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、ストレスに弱いという人は多いです。

すぐに疲れてしまう、頑張れない、いつまでも落ち込んでしまう、日常的にイライラしている、暴力的になるなど、ストレスが引き起こす事象は私たち人間にとってなかなか厄介なモノばかり。

発達にでこぼこのある子は、その脳の特性により日常的に強いストレスが掛かっている状態であることが多く、ストレスに対処する力を身に付けることは最重要課題とも言えます。

ストレスに対処出来ないということは、そう遠くないうちに精神的に病んでしまう可能性が非常に高くなってしまうからです。

人間は、自分で対処出来る状態ならストレスを感じることはありません。

ご飯を食べることにストレスを感じる人はいないでしょうし、眠ることにストレスを感じる人もいないでしょう。毎日が自分にとって気楽な状態、対処”出来る”状態であるならストレスを感じることはないはず。

食べられない、眠れない、災害などで毎日が非日常になったなど、自分の欲求を制限されたり、感情の揺れが発生したり、様々なことが”出来ない”状態の時に人間はストレスを感じるのです。

では、”ストレスに対処する”とは具体的にどうすれば良いのでしょう。

欲求の制限に関しては、本人の心身の健康に影響があること、法を犯すようなこと、他人に迷惑を掛けるようなことだけに留めておけば充分なはずなので、可能な限り本人の欲求や行動を制限しないようにすることでストレスは軽減されます。

“出来ない”は、本人が簡単に出来るところまで”出来る”基準を下げたり、周囲がサポートすることで対処可能になりますが、感情の揺れに関しては周囲がコントロール出来るものでもないので、本人が自分でコントロール出来るように自覚を促していくしかありません。

そこでまず最初に、本人が抱えているネガティブなモノやコトを具体的に洗い出してください。

何となく嫌だとか何となく苦手という表現をしがちですが、どうして嫌だと感じるのか、どの部分が嫌なのか、どういうタイミングでその感情が出てくるのかを深く深く探ってください。

ただ、本人が自力で自分を探るのは限界があるので、ここは身近にいる保護者の観察力が鍵です。

例えば体調に関して、学童期にお腹が痛いと訴える子は多いと思いますが、それはどんな時なのかを考えたことはあるでしょうか。

もちろん、真っ先にウイルス性やその他の病気を疑うべきですが、同じ物を食べている家族は何ともない、痛くて動けないほどではない、短期間で治まったのであれば、ストレスによる自律神経の乱れが腹痛の原因ではないかとも疑ってください。

あらゆる可能性は残しつつ、何かがストレスになっているのかもしれないと原因を探ることになると思いますが、ここで一つ問題が生じます。

腹痛の原因が本当にストレスだったとしても、ストレスを感じている本人自身が、何に対してストレスを感じているのか自覚が無いことが多いのです。聞いても分かんないって言います。

さぁ、ここからが大変です。本人ですら分からないモノを第三者である保護者が探るのです。校庭の中からストレスの原因と書かれた小石を見つけ出すようなものです。超ムズイ。

でも、ピンポイントで小石を見つけなければいけないわけではありません。この辺りに原因があると知ることが目的なので、だいたいで充分です。アタリをつけて絞り込んでいきましょう。

まず最初に、その腹痛はストレスが原因かもしれないことを本人に伝えてください。そして、ストレスだとしたら原因となるモノやコトがあったはずだと本人自身にも原因を探るよう伝えます。

保護者が一人で探すより、本人と一緒に探した方がきっと早く見つかりますからね。

そして保護者は、本人が腹痛を起こすタイミングをまずは見極めてください。

本人がお腹が痛いと訴えて来た日時を記録し、その前後にあった出来事を本人から聞き出して原因を探っていきます。

体育でとび箱があった。

算数とか国語の授業があった。

お友だちと遊んだ。

子どもの話を聞いていると、取り止めのない話ばかりで意味があるのかと思ってしまうかもしれません。こんな話ばかりではストレスの原因なんて分かるはずがないと思われるかもしれません。

でも、子どもの取り止めのない話の中にこそヒントは隠されているのです。

きちんと記録していると気付くと思いますが、お腹が痛くなった前後の出来事の中に共通する事項が必ず出て来ます。

例として「お友だちと遊んだ」を挙げますが、これ以外の事項の可能性もありますし、複数の可能性もあります。季節や天候なんていう人間ではどうしようもないモノの可能性だってあります。

ですが、まずは1個。最も可能性の高い事項にアタリを付けます。

お友だちと遊んだ時に何かなかったか聞き取りをし、何かあったとしたらそれが原因の可能性、何もなかったとしたら原因は他にあるか、本人の中にある可能性があります。

お友だちと遊ぶことが楽し過ぎたため、その反動が翌日に来た。かもしれませんし、お友だちと遊ぶことは楽しいけれど疲れもするため、その反動が翌日に来た。のかもしれません。

もしかすると、お友だちと遊ぶのはあまり楽しくないけれど、それをお友だちに言い出せていない。の可能性もあります。

間違っていても良いので、どれが近いか本人に訊ねてみてください。他にも色々と選択肢を提示してください。

自分の感情を考える、という行為が大事で、自分が物事に対してどう思っているのか、どう感じているのかを知ることこそが、ストレスに対処する第一歩となるのです。

例えば、お友だちと遊ぶことは楽しいけれど疲れもする、が近いという答えが本人から返ってきた場合は、”疲れる”のは何故なのかをさらに考えさせます。保護者と一緒に考える、でも良いです。

そうやって深く深く自分を知っていくという作業を繰り返していくと、自分がどういう時にストレスを感じるのかだんだんと分かるようになってきます。

そうなれば、ストレスに対処出来るようになるまであと少しです。

自分がストレスを感じそうな状況が来ると分かっていれば事前に心の準備が出来ますし、強いストレスが掛かったと自覚があれば、自分で自分の心のケアが出来るようにもなります。自分の心の状態を客観的に観察しながら、自分の”出来る”ことと照らし合わせ、無理しないようにすることも可能でしょう。

ここまで出来るようになれば、どんなストレスにも対処出来る「ストレスに強い人」の完成です。

もちろん、生まれつきストレスに耐性がある人もいますが、ストレスに耐性があるからといって何もしなければ、耐えられないほどのストレスが訪れた時にポッキリと折れてしまいかねません。

そうならないためにも、ストレスに対処する力は誰もが身に付けておいた方が良いモノです。大丈夫。今からでも身に付けられます。

本人だけでなく、保護者も改めて自分にとって何がストレスになっているのかを確認することで精神的に安定しますし、保護者の精神的な安定は本人の安定にも繋がります。

自分を知りましょう。何を嫌だと感じるのか、しんどいのは何故なのか探りましょう。

昔のことを思い出して辛いかもしれません。等身大の自分を直視するのはキツイかもしれません。

でも、少しずつで構いません。1個ずつで大丈夫です。

自分を知り、自分の状態を把握し、自分自身を大事にすることで自己肯定感も上がりますし、それらはきっと最終的には精神的な安定に繋がります。穏やかな日常に繋がります。

そんな穏やかな日常を得るため、1つずつ1歩ずつ”出来る”をコツコツと増やしていってください。そんなあなたを私たちは応援しています。

溜まってしまったストレスを発散するためには誰かに悩みを聞いてもらうのも手です。似たような悩みを抱える私たちが、あなたからのご連絡をお待ちしております。