今回は、『「電話が怖い」若者たちの悩み かけるのも受けるのも… 「失敗するかもと不安」「迷惑になりそうで」』という記事をご紹介します。
発達にでこぼこがある・ないに関わらず、電話が苦手だという人は多いです。
若い人やコミュニケーション能力に自信が無い人ほど、その傾向が強いのではないでしょうか。
電話が苦手でも何とかなる世の中ではありますが、社会人になった時のためにも電話対応への苦手意識は何とかしておきたいところ。
そもそも、何故電話が苦手だと感じるのでしょう。
相手の表情が見えない。声という聴覚からのみの情報を取り入れつつ、様々な判断を自分一人でしなければならない。知らない電話番号からの電話だと、0の状態から相手の情報収集をしなければならない。相手の状態が分からないので、都合が悪いタイミングだと掛け直しになったり拒否られてしまう。
この他にも様々な理由があると思いますが、要するに”あまりやったことがないから”に尽きるのではないでしょうか。しっかりとした電話対応のマニュアルがあまりなく、経験の中で臨機応変に学んでいくしかないのが電話対応を苦手と感じる要因なのかもしれません。
そして、あまりやったことがないことをやった時に限ってトラブルが発生するという”あるある”な経験を何度かした結果、電話が苦手な人が出来上がってしまうというワケです。
苦手だという意識があると失敗したらどうしようと緊張しますし、電話対応で怒られた経験があれば萎縮もします。相手の話を聞きながらメモを取るなど、2つのことを同時にするのが苦手なら電話の要件を聞き取ることも難しいでしょうし、そもそも電話の相手が誰なのかさえ分からなくなってしまう可能性だってあります。
そんな状態になってしまっている人に、電話が苦手なのは”あまりやったことがないから”だとは言いづらいですよね。慣れるまでやれとは言えないはず。
では、どうすれば電話対応が出来るようになるのでしょう。
そもそも、現代では電話を使うこと自体があまりありません。
家族でさえLINEやメールなどでやり取りすることが多く、電話をかけたことすら片手で足りるという子は少なくないのです。
そう考えると、LINE電話などでお友だちといつまでも話しているという子や、オンラインゲームで知らない人と通話しながらゲームしているような子は、電話対応の基本ルールや社会人としての言葉遣いさえ覚えてしまえば、電話対応はスムーズに出来てしまうのかもしれません。
電話の相手が家族であれば問題なく受け答え出来る、という場合なら、電話の相手を少しずつ慣れていない人に広げていくことで電話対応が”出来る”状態になっていくはずですが、家族でさえ電話は難しく感じるという場合は、電話自体に慣れるところから始めなければなりません。
相手が機械であれば大丈夫そう、という場合は、時報や天気予報の電話サービスに掛けてみることから始め、家族の目の前で家族に掛ける、隣の部屋にいる家族に掛ける、外出中の家族に掛けるの順で電話に慣れていきます。
電話をかけることや受けることには慣れたけれど、相手から言われたことをメモしたり覚えるのは難しいという場合は、誰からの電話なのか、誰宛の電話なのか、どういう要件なのかだけを書けるようなメモを事前に作っておくなどの対処方法を考える必要があります。
この辺りは人によって異なるので、電話対応の何が苦手なのかを知り、どうすればそれを解消出来るのか試行錯誤していくしかありません。
一番よろしくないのは、苦手なことを苦手だと自覚しないまま出来るようになるまで(という曖昧な目標に向かって)無理して頑張ってしまうこと。
小さいうちから自分が何が苦手なのかを知り、それを解消するにはどうすれば良いのか対処方法を知ることで、社会人になった頃には電話対応もある程度は出来るようになるでしょう。
自分で“出来る”を増やすことは、自己肯定感を上げることにも繋がります。そして、意外かもしれませんが、自分では”出来ない”を知ることも自己肯定感を上げるのです。
自分には電話対応はどうしても難しい、ということを知っているのなら、その業務から外してもらうことも出来るでしょうし、外してもらえなくても電話は苦手だと周囲に伝えていれば代わってくれる人もいるでしょう。
“出来ない”ことを認めることそのものよりも、自分では”出来ない”ことを繰り返し何度もやって”出来ない”を味わうことこそが、自己肯定感を下げてしまう要因となるのです。
人は無自覚に自分に厳しくしがちです。何で出来ないんだと自分に対して常に思っています。あれもこれも出来て当たり前だと思っているので、あれも出来ていないこれも出来ていないと思ってしまいがち。
自分で自分の自己肯定感を下げないためにも、“出来ない”ことは”出来ない”と認め、”出来ない”ことは無理をせず、”出来る”ところまでレベルを落とすか、”出来る”人や機械にお願いしてください。自分に対して優しくしてください。
自分を甘やかしたら良くないのではと思っている間は大丈夫。厳しいだけじゃ人は成長出来ませんからね。意識して自分に優しくするくらいでちょうど良いのです。
自己肯定感が上がってきたら、甘やかしたら良くないなんて思わなくなります。何で出来ないんだなんてセリフも出てこなくなります。
“出来ない”ことは”出来ない”んだからしょうがないよねって思い始めます。”出来る”ことをやるしかないよねって思い始めます。”出来る”ことだけをやっているので、調子に乗って自分は天才かなって思い始めます。最低限でも苦手なことをやったなら、そんな自分を褒めまくります。
それじゃダメじゃんと思われるかもしれませんが、自己肯定感の高い人はそうなのです。そうやって楽しく”出来る”ことをやって人生を満喫しているのです。苦手なこともこなしているのです。
“出来る”ことだけをバリバリやり、”出来ない”ことは最低限にこなしている自己肯定感の高い人は、周囲から見ると”出来る”人です。楽に人生を送っているように見える人です。
でも、自分に”出来る”ことをしているだけなのです。頑張っていないだけ。楽をしているだけなのです。
楽をするのはダメだと思うかもしれませんが、“出来ない”ことをヘトヘトになるまで頑張って”出来る”ように振る舞って疲れ果て、本来なら簡単に”出来る”ことすら出来なくなるよりは、そちらの方が良いと思いませんか。
“出来ない”ことは頑張らなくて良いのです。自分で自分をいじめる必要はないのです。自分こそ自分の一番の味方でいてあげてください。”出来ない”自分を認めてあげてください。
本人だけでなく、保護者自身も自分に厳しくしがちなはずなので、本人と一緒に保護者も自分をたっぷりと甘やかしてくださいね。
どうしても自分自身が認められない時は私たちにご相談ください。赤の他人に話すことで客観的に自分を見つめることが出来るかもしれませんし、私たちの話が何かのキッカケになるかもしれません。