ストレス反応が出てしまった時は

今回は、『強引な誘いに困惑』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、声の大きい人や体格の良い人、自分よりも上の立場の人から自分の意思とは違うことを言われてストレスを感じたという方は多いと思います。

上司から飲みに誘われた。とても急いでいる時、偶然会った友だちから大声で呼び止められた。自分よりも体格の良い人から好意を向けられた。親から自分の未熟な部分についてあれこれと言われた。

いずれの場合も相手は善意や好意からの行動ですが、自分の意思が相手が求めているものとは違う場合、断ったり対応するには少し勇気が要りますよね。ストレスが掛かります。

自己肯定感が低かったり感受性の強い繊細な子だと、たとえ仲の良いお友だちから一緒に遊ぼうと誘ってもらえていたとしても、本人がその子と遊びたいとは思っていなかったり別なことをしたいと思っている場合、”普通”の人たちが思っている以上に強いストレスを感じてしまうことがあります。

せっかく誘ってくれたのに断ったら相手が嫌な気持ちになるかもしれない。怒るかもしれない。嫌われてしまうかもしれない。次は誘ってくれなくなるかも。

大切なお友だちであればあるほど断るのが難しくなってしまい、優しい子ほど自分の意思を無視してお友だちの意思を優先させてしまうのです。

自分の意思を無視しているわけですからストレスを感じますが、ちょっと指先を切ったくらいの軽微なものなので、大したことはないだろうとそれも無視をします。ですが、それがどんどん積み重なっていくとどうなるでしょう。

ちょっと指先を切ったくらいのケガが体中に増えていき、優しい子であれば優しい子であるほどケガがまだ治り切っていなくても、痛みを我慢して自らケガを負うのです。

体中がそんなケガだらけの状態だと、ちょっとの刺激でも強い痛みを感じるようになりますよね。痛みで動けなくなりますし、出来るものも出来なくなります。

ケガや骨折などで動けない状態になったことがある人なら分かると思いますが、悪気は無くてもケガをしている所を触られたら当然怒りますよね。何度も痛みを与えて来る人間には止めろと言います。

心の傷も一緒です。

実際、口に出す子もいるでしょう。イヤだ、やりたくない、出来ない、無理だと言葉で訴えたり、泣き出す怒るなどの行動に移せる子もいるでしょう。

問題行動として捉えられてしまうそれらは、耐え切れないほどの痛みを抱えている幼い子が、残った力を振り絞ってこれ以上痛みを与えるのはやめてくれと懸命に訴えているだけなのです。

そして、自己肯定感が低かったり感受性の強い繊細な子は、優し過ぎるがゆえにそれも出来ません。何も言わず、無理に無理を重ねて良い子を演じ、ただひたすらに我慢してしまいます。

止めてくれと言っても変わらず痛めつけて来る人間が身近にいたとしたら、自分の力だけでは痛めつけて来る人間から離れられないとしたら、人は絶望するしかありません。

絶望した人間が次に何をするかなんて、誰もが分かり切っていますよね。

そんな状態になる前に、我が子にストレス反応と言われる症状が出始めたら、まずは本人の話をよく聞いてあげてください。元凶が明らかなのであれば、それを排除するために動いてください。

そして、本人が抱えている生活に関するものを出来るだけ保護者が引き受けてあげてください。

心に負った傷を治す方法は、体の傷を治す方法とそれほど変わりありません。あまり動かないよう安静にしてよく眠り、栄養のあるものを食べて、傷が治るまで自分にとって健やかな状態を保つこと。

体に負った傷は見えますが、心の傷は見えないため、ストレス反応が出ている状態を軽く見てしまいがちですが、”普通”の人がストレス反応が出るくらいの体の傷と同じだと思えば分かりやすいのではないでしょうか。

ストレス反応が出るくらいの体の傷というと、下手すれば交通事故で入院している患者さんレベルです。とりあえず確実に足を骨折くらいはしてます。

そんな人間に動けなんて言えませんよね。足を骨折している本人が動こうとしようものなら、何やってるんだって怒りますよね。足が治るまでは動くな安静にしておけと言うのではないでしょうか。トイレやお風呂以外は動かなくて済むよう身の回りのお世話だってしますよね。

ストレス反応が出ている子には、それくらいの勢いで対応しなければもっと酷くなってしまうのです。

徹底的に安静にして、本人の表情が明るくなったりあれこれと動けるようになって来たら、次はリハビリの時間です。

心の傷は再発しやすいです。ストレス反応が無くなったといっても、剥き出しだった傷にかさぶたが出来たくらいのものです。同じ場所にまた傷を負えばあっさりと元の傷が開きますし、全ての傷が完全に治るまでにはかなりの時間がかかります。

なので、ストレス反応が無くなったからといってすぐ元の状態に戻すのではなく、ストレス反応が出ないような範囲内で出来ることを少しずつ少しずつ増やしていくようにします。これがリハビリです。

同時に、どんなことが自分にとって心の傷になってしまうのかを知り、新たに傷を負っただろう時には、ストレス反応が出ていなくても安静にするという予防的な措置も取れるよう訓練します。

そうこうしているうちに剥き出しだった心の傷も塞がっていくと思いますが、塞がった傷は歪ではありますが強くなっています。いっぱい傷付いたからこそ、同じような傷を持つ人に対して優しくもなれるでしょう。

我が子がそんな大人になれるよう、保護者はただただ本人の身の回りのお世話と、本人の話を聞いてあげてください。どうすれば良いのか考えてあげてください。

本人にストレス反応が出てしまうと保護者も大変だと思います。保護者にもストレス反応が出てしまった時は、家事は最低限にして自分の体を労ってあげてください。本人と一緒にのんびりしてください。

本人や保護者のストレス反応がなかなか消えてくれない時は私たちにご相談ください。色々と溜め込んでいるものを我慢して吐き出さないのもストレスになりますからね。似たような悩みを抱える私たちがお待ちしております。