今回は、『子どもの将来を決める、学歴より大切な「たった1つの武器」とは?』という記事をご紹介します。
今から約50年前、現在の70代の人は約6割が高校を卒業したら就職という世界で生きていました。そして今から約20年前、現在の30代や40代前半の人は約2割が高校を卒業したら就職、約7割が高校を卒業したら専門学校や短大、大学へ行くという世界でした。
そして現在、高校を卒業したら就職という人は約1割を切っており、高校を卒業したら専門学校や短大、大学へ行くという人が8割を超えています。
時代によってこうも違うのかと実感してもらえたかと思いますが、では現代で大学に行かずに高校を卒業して就職した子や高校にも行けなかった子はダメな子かというと、そんなことは全くないと、力強く全力でハッキリと断言します。
専門学校や短大、大学へ行く人が多いのは、学びたいという強い意欲があり、通うためのお金を用意することが出来、その学んだことで自分一人を賄えるくらいのお金を稼げるようになるためです。
行けないからといってダメな子なわけではありません。むしろ、周囲が皆んな行ってるからと大学まで出してもらったのに、自分の出来ること、得意不得意をしっかりと知ることが出来ず、自分一人ではしんどくて生きていけないという大人はたくさんいます。
その点、何かを全力で頑張ったことがある子は自分を分っています。
高校野球で吐きそうになるくらい自分の体を追い込んだ。胃が痛くなるほど勉強を頑張った。習い事のピアノを泣きながらやった。
保護者も学生の時、自分のしんどさを分かってくれない周囲にイライラしながら、不機嫌をまき散らしながらやっていましたよね。
途中でケガをして続けられなかったとか結果が出なかったとか、悔しい思いをしたという人も多いと思いますが、そこがその時の自分の限界だった、あれ以上にやれと言われても無理だったと誰もが痛いほどに理解させられたはずです。
そうです。吐きそうになる、胃が痛くなる、泣く、イライラする、不機嫌になるというのは限界のサインなのです。
発達にでこぼこのある子も同じです。限界ラインが”普通”の人よりも低過ぎるために、出来ないことや苦手なことだと、少ししかやっていなくてもすぐに限界を迎えてしまいます。
もちろん、発達にでこぼこがあっても年齢と共に出来ることも増えていきますし、実際に出来るようにもなるでしょう。ですが、それと比例するように、やらなきゃいけないこと、出来るようにならないといけないことも増えるのです。
終わりが見えませんよね。出来るようにならなければいけないことがたくさんあり過ぎて、周囲の皆んなに着いていけないのです。
私たち日本人は”普通”の人であろうと日々努力していますが、皆んなが頭に思い浮かべる”普通”の人とは、国語や道徳の教科書に出て来るような、常識を持っていて親切で優しく、誰とでも仲良く出来、何でも解決出来るような人間です。皆んなから素晴らしいと讃えられるような人物です。学校の通知表で言うとオール5の存在です。
そんな存在、身近にそうそういませんし、仮にいたとしても宝くじが当たったくらいの奇跡の存在ですよね。野球の大谷翔平選手や将棋の藤井聡太棋士、東大に行くような人物が同じ教室で学んでいた。隣の席に座っていたくらいの確率です。
私たちが思っている”普通”は本来なら理想と呼ばれるものであり、その理想の人になれているのなら学校の成績は良かったはずです。でも、全ての教科で5を取れていた人なんて滅多におらず、5を取れたことがないという人も多いと思います。
一般的に“普通”とは、通知表でいう3です。5じゃありません。でも、皆んなが最終的に目指すべきなのは5の理想です。
義務教育が何故義務なのか、それは義務教育中に学校で学ぶ内容が人として理想とする姿だからです。
じゃあやっぱり出来るようにならなきゃダメじゃんって思いますよね。でも、大人でも理想とする人間になれていない人が多いのです。子どもがそう簡単に出来るはずもありません。すでにある程度出来ているなら、それはその子が凄いだけなのです。
ですが、苦手だったり出来なくても問題はありません。学校にいる間に出来ていなくても良いのです。
すぐすぐは無理でも、人生が終わるまでの長い長い間に、自分のペースで小学校や中学校の内容を出来るだけ理解出来るようにする、理想とする人間に近付けるようにするという課題であれば何とか出来ると思いませんか?
発達にでこぼこのある子も同じです。学校へ行くのがしんどいのは、学校が年齢によって分けられており、学んだことを理解するのに時間が掛かる子ほど着いていけなくなってしまうからです。どんどん授業の内容が分からなくなります。
勉強は出来るのに学校に行くのはしんどいという子の場合は、周囲の子と自分とが違い過ぎて辛くなってしまうのです。
出来過ぎる子だと、まだまだ未熟な部分もあるでしょうが、ほぼ理想的な大人と変わらない言動をします。周囲が未熟な子ばかりの環境だと、出来る自分の方がおかしいと思ってしまいますよね。
どちらにも共通しますが、学校へ行くのがしんどくてもう無理という状態なのであれば、学校に行かせるべきではありません。
本人の頭の中にはしんどいということしか無く、どうしてしんどいのか、何が原因なのかも分かりません。色んな感情が入り混じってぐちゃぐちゃの状態です。
頭の中がしんどいでいっぱいなので何も考えられませんし、何も出来ません。何かが出来たとしても、いつもよりもずっと低いレベルのモノになるでしょう。
そして、そんなレベルの低いモノしか出来ない自分を見て、何をやっているんだ、こんなんじゃダメだと自分をさらに追い込むのです。
なので取り敢えず、学校に行きたくないという本人の希望は叶えてあげてください。保護者に任せておけば大丈夫という頼りになる存在になってあげてください。保護者は味方だよという姿勢を見せてください。
学校に行かなくても良いんだ、行かなくても大丈夫なんだという状況になれば、自分の気持ちを整理することも出来るようになるでしょう。
学校でどんなことがあったのか、何を嫌だと思ったのか、子どもでは語彙力が無さ過ぎて伝えられない場合もあると思います。
そんな時も、こうかな、ああかな、と本人と一緒に考えてあげてください。本人の話をとことん聞いてあげてください。
最後に、発達にでこぼこがあると分かったご家庭の子は、本人が学生期間を終える頃には家族全員が自分をしっかりと理解していることが多いので、就職には強いと思います。
本人に何が出来るのか、何が好きで、どんなことが得意なのかを見極めて、本人に最適な就職先を見つけたり、本人にピッタリな仕事そのものを創り出す手伝いをしてあげてくださいね。
理想を追い求め過ぎてしんどい時は私たちにご相談ください。無理しても良いことはありませんからね。同じ発達にでこぼこがある子を抱える私たちとおしゃべりしてリラックスしましょうね。