今回は、『「甘やかす」と「甘えさせる」はまったく違う 子どもを厳しく躾けても自立心が養われない訳』という記事をご紹介します。
私たち現役の親世代は、そのまた上の親世代から厳しくしつけられて育てられてきました。
甘えるなんてことはあまり許されることはなく、それどころか冷たく突き放されることもしばしば。
そうやって育てられ、親元から離れても大丈夫という自立心が芽生えたかというと、あまりそうではないなと感じている方も多いのではないでしょうか。
周囲から急き立てられるように大人になることを求められ、甘えることは許されず、心の拠り所が無いまま世間の荒波にもまれながら今ここにいる。
そんな不安定な方が多いのではないかなと思います。
心の拠り所、つまり自分が自分らしくいても怒られない、否定されない、自分の意思を尊重される場所というのはとても大事で、でも、そんな場所を持っている人はそう多くありません。
ですが、保護者は子の親になった瞬間から、我が子がそれを与えてくれたはずです。保護者がどれだけ自分はダメな人間だと思っていても、どんなに出来ないことだらけの人間だったとしても、幼少期の我が子は保護者を無垢な心で慕ってくれていたはず。小さい手を一生懸命伸ばして抱き着いて来てくれたはずです。
そんな子どもの心の拠り所に保護者もなってあげてください。子どもから与えられたものを精一杯返してあげてください。
でも、保護者が心の拠り所になったら親元から離れられなくなるのでは、と思われるかもしれませんが、親元から離れられなくなってしまうのは子どもが親に依存している場合か、親が子どもに依存して手放さない場合、もしくはその両方です。
子どもが自分で出来ることすら親がやってくれる、全部親が決めてくれる、そんな親元は居心地が良いですからね。離れられなくなって当然ですし、自分でやらなければならないことをやってきていないのですから上手く出来る自信もないでしょうし、親元から離れることに強い不安すら感じるかもしれません。
親側はよかれと思ってやっていたことが子どもの自立を阻んでいる、なんてことにならないよう、一人暮らしを想定した上で自分のことは自分で出来る子に育てましょう。大丈夫。今からでも間に合います。
まず最初に、子どもには自分のことは自分で出来るようにならなくてはいけないということを伝えてください。
今は保護者が代わりにやっていることも、いずれは自分で出来るようにならなければならないことであり、出来ないのなら誰かにお願いして代わりにやってもらうか、お高めな機械などに頼るしかないことも伝えてください。
生活費などを稼ぐための経済的な面、炊事や洗濯、掃除などの生活的な面、それから親元から離れても大丈夫なように精神的な面での自立が必要であることを伝え、今後は少しずつ訓練していくことに本人の同意を得てください。
本人に無断で勝手に始めたら、保護者からいきなり突き放されたような気持ちになってしまいますからね。本人の同意は大事です。
次はさっそく実践ですが、ここで注意して欲しいのが、子どもに何でもかんでも最初から全部自分でやらせようとしないこと。
「出来る」は、他人の手を借りることなく最初から最後まで自分一人で出来て、かつ、それを日常的に行える状態の時に言える言葉です。
「ゴミ捨てが出来る」なら、ゴミ収集の日を把握していて分別もしっかりと出来、洗浄が必要なものは洗浄し、ひとまとめにするなどの作業も行え、決められた時間に決められた方法で決められたゴミを捨てることが出来る。それも毎日のように。が出来て初めて「ゴミ捨てが出来る」なのです。
大人でさえ出来ていない人がいるのです。子どもに最初から自分で全部やれなんて言っても難しい話ですし、ゴミ捨てにかかる作業を事細かく分けて、段階に応じて出来ることを少しずつ増やしていきましょう。
1.まとめられたゴミを決められた時間内にゴミ捨て場に持っていく。
2.ゴミ収集の日を自分で確認して、まとめられたゴミをゴミ捨て場に持っていく。
3.家中のゴミをゴミ箱から集めて分別する。ゴミ箱にゴミ袋を被せるのも忘れない。
4.汚れたゴミを洗浄する。
5.分別したゴミをひとまとめにする。
これらを自分で毎日のように出来るまで時間をかけて訓練していきます。
ゴミ捨て場に持っていくだけなら一番簡単な作業なので早めに習得出来ると思いますが、ここに「今日は何のゴミ収集の日なのかを自分で確認する」という作業が加わると一気に難しくなります。
人は誰かに指示されたことであれば何も考えずに済むので簡単に出来ることが多いですが、自分に対してであっても指示する側に回ると決め事が多くなるので、難しさ、というよりも面倒臭さを感じてしまうのです。
発達にでこぼこのある子を育てていると実感すると思いますが、この「面倒臭い」は本当にやっかいで、なかなか本人の中から消すことが出来ません。
本人も自分にメリットがあると分かっていても、「面倒臭い」の方が勝ってしまうのです。
そんな場合は、物事をさらに事細かく分類してください。楽に出来るよう簡単にしてください。
「今日は何のごみ収集の日なのかを自分で確認する」が難しく感じてしまうのなら、確認作業をパッと一目で分かるようにします。
この辺りは本人に合った対処方法を試行錯誤しながら見つけなければならない部分なので、一言こうすれば良いと言えないのですが、ゴミの収集日カレンダーを目立つ所に貼っておく、アプリを活用するなど、トライアンドエラーの精神で色々と試してみてください。
そして最後に、本人に任せたからには保護者はあまり口出しも手出しもしないようにします。出来なくても叱らず、カバーも本人にさせ、出来たら「出来たね」と褒めてあげてください。「いつもゴミ出しありがとう」と労ってあげてください。
毎日のようにあるゴミ出しは慣れるまでが一番大変ですから、失敗するのは当然の意識で、長い長い目で見守ってあげてください。数年単位で時間がかかると思ってください。
そして、本人が体力的、精神的に疲れていそうな時は代わってあげてください。「疲れてるようだから今日は代わりにやっておくよ」と、代わってあげる理由をしっかりと伝えることも忘れずに。
人はしんどい時に優しくされると泣きたくなるくらい嬉しいものです。
子育て中の保護者もいっぱいいっぱいでしんどいはずです。いくら心の拠り所といっても、さすがに良い大人が子どもに甘えるなんてことは出来ないですから、大人は自分で自分を甘やかしてあげましょう。
疲れている時は早めに寝て、明日に回せる家事を明日の自分に押し付けてしまうのも手です。たっぷり寝て回復した自分なら、しょうがないなぁと寛大な心で許してくれるはず。
もし、そんな余裕すらもないくらいしんどい時は私たちを頼ってください。遠慮なんか要りません。あなたからのSOSをお待ちしています。