先生も人間

今回は、『発達障害の子ども 何が困難? どう理解?』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある子が、学校の先生の対応の悪さで学校へ行きたくないと思ってしまうのは割とあるあるな話ですが、何故そうなってしまうのか根本から考えてみましょう。

まず最初に、先生の発達障がいに対する知識の無さがあげられますが、発達障がいが学校の指導提要の中に盛り込まれたのは2022年です。つい最近どころじゃなくまさかの去年です。

それまで2010年に制定された指導提要を元に生徒指導していたわけですから、発達障がいに関する知識が無くて当然です。教員になる前も、なってからも学ぶ機会がないわけですから、自ら知ろう学ぼうと思わない限り知識は0に近いと思っていた方が無難です。

そうは言っても、発達障害者支援法が制定されたのは2004年ですし、ここ数年の世間の認知度からすると、知識0というのは単に学習意欲が無く情報のアップデートがされていないだけという気もしますが、そんな先生にどうしたら我が子の特性を理解してもらえるのでしょう。

どういうことが苦手なのか、どういうことをされると嫌がるのか、どういうことが好きなのか、どういうことに興味があるのかを一番よく知っているのは保護者です。

まずは先生に本人の生育歴のようなものを書いて渡してください。前にご紹介した相談支援ファイルでも良いです。

熱心な先生であれば、それだけで対応がガラリと変わると思いますが、それでも変わらないという場合が多いのも事実。

まぁ先生も忙しいですしね。個別対応は難しいというのも分からなくもありませんが、本人にとっては唯一の先生なわけです。理解してもらえないというだけでも、本人にとっては世界に拒絶されたような感覚を味わいます。

そんな本人の心情を思うと、保護者としては先生にも少しだけでも理解して欲しいところ。

ですが、先生の方にも事情があるわけで、それなら全く理解のない人でも出来そうな対応(本人の前で大声で怒鳴らない、指示は口頭ではなく紙に書くなど)を一つだけ守ってもらうようにお願いしてみてください。そして、そのことを本人にも包み隠さず伝えてください。

先生は事情があって全部やってくれるわけじゃないけど、これだけはやってくれるって、と保護者から聞かされたことを実際に先生がやってくれた時、本人は先生が自分のことを見てくれている、気にかけてくれているのだと安心するのです。

そして、保護者が言ってくれたからだという信頼感も生まれます。

先生側も、たったこれだけでこんなにも安定するのかという実体験を得れば、最初に渡した支援ファイルが生きてくるでしょう。

後は先生側次第ですが、変わらなかったとしても、”これだけはやってくれる”が本人にとっての安心材料となる可能性はあります。学校へ行く意味になったりします。

もし、”これだけはやってくれる”さえも守ってくれないような先生なら、こちらから見限ってしまうのが一番手っ取り早いです。

たった一つ、最低限のことですら出来ないのであれば、どうやっても”出来ない”のです。

発達にでこぼこのある子を育てている保護者なら、出来ないことを出来るようにしろとは言えませんよね。出来ないものは出来ない。

それなら別の方法を考えた方が建設的です。

先生側は変わらないのですから、こちらが環境を変えるしかありません。

年度で先生が変わるまで自宅で勉強しながら待つか、別の学校へ通うか、オープンスクールなどに通うか、自宅で勉強して通信制の高校を目指すなど方法はいくらでもあります。

得意なことを伸ばしつつ、最低限の知識・教養を身に付けるための勉強もしつつ、得意なことを活かせるような就職をするための準備もします。

コミュニケーション力も身に付けた方が就職に有利なので、得意なことが出来る場所で仲間を見つけてください。最初は身内ノリが出来る場所が良いでしょう。

みんなと一緒じゃないことに不安を覚えるかもしれませんが、就職ではみんなと一緒じゃない部分が強みになります。

みんなが経験していないような経験をしてきたことが強みとして出せるのです。

職業は何でも良いのです。自分一人を養っていけるくらいのお金が稼げて、しっかりと納税していれば充分立派です。

実家から出られなくても良いのです。それで浮いた家賃分のお金が貯められるのであれば、親が亡くなった後も安心ですよね。

大事なのは本人が心身ともに健康かどうか。

心身ともに健康でいられない場所からは逃げた方が良いですし、ずっとそこに居続けるメリットは殆どありません。むしろデメリットばかり。

その選択が正しいのかどうかなんて、だいぶ後にならないと分かりませんが、本人が心身ともに限界を迎えているのであれば、そこから離れることが最善なことだけは分かり切っています。

まずは離れてから、そして落ち着いてから、今後のことはゆっくり本人と探していけば良いのではないでしょうか。

心身ともに健康でなければいけないのは保護者も同じです。心に余裕が無くなって来たなと感じた時は私たちにご連絡ください。溜め込んだ愚痴を吐いて心をスッキリさせましょうね。

タスクを削ろう

今回は、『優しい母でいたいのに…。子にイライラしそうになった時の対処法』という記事をご紹介します。

毎日の生活の中で、アレもやらなきゃコレもやらなきゃと”やるべきこと(タスク)”が溜まっている時、子どもが麦茶がたっぷり入ったポットを倒して大惨事になってしまう、なんて経験をした保護者は多いと思います。

朝の忙しさMAXな時にやられると瞬間的に頭に血が昇り、子どもに向かって「何やってるの!」と怒鳴ってしまった。

子どもは子どもでフテくされていて謝罪もなく、片付けをしながらガミガミ・クドクドと言葉が続き、朝から嫌な気分になったという経験をしたというか、つい最近もこんな感じだったという方も多いのではないかと思います。

本当は心穏やかに笑顔で過ごしていたいのに、どうしてこう毎日のようにイライラして怒鳴ってしまうのか。

そもそも、子どもがポットを倒しさえしなければこんなことにはならなかった、かというと、そうでもありません。子どもがポットを倒す前からだいぶイライラしていたはずだからです。

瞬間湯沸かし器のように怒鳴ってしまったのは、突発的に起きた子どものミスのせいではなく、自分が抱えているタスクが多過ぎて、限界まで膨らませた風船のようにいっぱいいっぱいになっていたから。子どものミスはキッカケに過ぎません。

では、どうすれば良かったのでしょう。

心穏やかで笑顔の毎日を過ごしたいのであれば、抱え過ぎているタスクを極限まで減らすしかありません。

簡単に言うけど、そんなのムリ。と思いますよね。分かります。

出来るならもうやってる、とも思いますよね。分かります。

でも、あなたが抱えてるその大量のタスク、本当にあなたがやらなくてはならないモノですか? 本当に必要なタスクですか?

他の誰か(子どもや他の大人)がやるべきタスクを引き受けていませんか? 押し付けられていませんか?

“自分一人で”、”全部やらなきゃ”と思い込んでいませんか?

まず最初に、あなたが抱えているタスクは誰のタスクなのかを考えてください。

朝の時間帯が一番忙しいのであれば、子どものお洋服は自分で準備させる、まだ自分で準備出来ない年齢なら、セットにしたものを洗濯物を片付ける時に準備しておく。

家族全員分の食事の用意や、弁当を用意しなければならないのであれば、他の誰かにゴミ捨てや食器の片付け、掃除などの家事をやってもらう。

他の誰かがいないのであれば、初期投資が掛かりますが、家事を食洗機やお掃除ロボット、洗濯乾燥機などの機械にやってもらうのも手です。コツコツとお金を貯めて、あなたの貴重な時間を買ってください。

人手もお金もないのであれば、“自分一人で”、”全部やる”を自分の心身の健康のために止める勇気を持ってください。出来ていないことを責めないでください。

毎日を心穏やかに過ごしたいのであれば、多過ぎるタスクを減らすしかないからです。

朝ご飯も弁当も、バンバン手抜きして良いのです。手作りじゃなくても冷凍食品だらけでも栄養バランスはだいたいでも子どもはちゃんと育ちます。生きていけます。

食器の片付けも部屋の片付けも最低限で良いのです。キチンと全部片付いていないと死ぬわけではありません。

“生きていければまぁいっか”の精神で、生活に必要な最低限のモノだけを回すようにすれば、自然と心穏やかに過ごせるようになれるでしょう。

もし、そんな生活に文句を言ってくる人がいたら、是非ともその人自身にやってもらってください。

心身の健康を守れないと判断したから削ったモノたちです。やって欲しいのであれば、他の人手、時間を買うためのお金のいずれかを払う必要があります。

心身の健康を害すると分かっているモノを、そう説明したにも関わらず”やれ”と言ってくる人間は、あなたのことを全く大事に思っていない人間です。そんな人間の言うことを聞く必要はありません。

自分大事に、子どもに怒鳴らずに済む心穏やかな生活を第一に目指してください。

キレイに片付いたステキなお部屋やインスタに載せるような華やかな生活は、その次に目指すべきモノです。最初からソレを目指しちゃダメです。

アレも出来ていない、コレも出来ていないと思ってしまう気持ちは分かりますが、そうやって自分を責めて追い詰めていると自己肯定感が上がらず、精神的に不安定になってしまいます。

そうなると全部が全部ダメな方向にしか進まないので、最低限の生活にすることは自分を守るために必要なことであり、自分を守ることは家族を守ることにも繋がるのだと自分に言い聞かせ続けてください。これは大切なことなんだと自分に思い込ませてください。

自分よりも周囲を優先させがちな人にはなかなか難しいでしょうが、その周囲の人たちのためだと思って、周囲の人たちを守るためだと思って、まずは自分を大事にしてくださいね。自分が倒れたらそれこそ大変ですから。

なかなかタスクを削れないという場合は私たちにご相談ください。このレベルまで削っても生きていけているという実体験をいくつか語れるのではないかなと思います。

自分大事に

今回は、『起床できず休みがち』という記事をご紹介します。

子どもの“朝起きられない”問題は、発達にでこぼこがある・ないに関わらず多くの保護者が抱えがちな悩みですが、色んな原因が考えられることから単純明快な答えが導き出せない問題でもあります。

では、朝起きられない子は、どのような原因を抱えていると考えられるのでしょう。

まず第一に、単純な睡眠不足が考えられます。

前日の夜に遅くまで起きていた。前日に運動会などがあり、深く眠りはしたが身体の疲労がまだ残っているなどの場合です。

普段は朝起きられているという子の場合は、単純な睡眠不足は毎日の生活習慣を整えることで解消されることが多いです。

変な時間に寝ないようにしたり、しばらくの間、少し早めに寝るようにすることで睡眠不足は解消されていきます。

次に、脳の慢性的な疲労による睡眠不足が考えられます。

人は眠っている間に脳や身体を回復していますが、脳や身体が過度に疲れていると、睡眠による回復が追い付かず、疲れが残ったまま起きることになってしまいます。

身体の疲れは激しい運動を避けることで回復が出来ますが、脳はそうはいきません。

起きているだけでも脳は結構な勢いで稼働しているからです。

目を閉じて視覚情報を遮断すれば、起きていても脳を安静に近い状態に出来るかもしれませんが、そうなると何も出来ませんよね。

脳に疲れが残っている状態で稼働しているのですから、パフォーマンスは落ちますし、いつもならしないようなミスもしてしまうかもしれません。

やる気も出ないでしょうし、集中力も低下。イライラしたりもするでしょう。

そういった感情の揺れは、良い悪いに関わらず脳に負担を掛けます。

ただでさえ疲れが残っている脳に、さらなる負担が掛かるのです。睡眠による回復が追い付かず、慢性的に疲れが残っている状態になってもおかしくありませんよね。それどころか、疲れが蓄積していく可能性だってあります。

そうやって脳の慢性的な疲れが少しずつ蓄積されていき、ある一定のレベルを超えてしまうと、ある日突然、どうやっても”朝起きられない”状態になってしまうというわけです。

さて、ここで気付いた方も多いのではないかと思いますが、睡眠不足の人が抱える「パフォーマンスが落ちる」「ミスをする」「やる気が出ない」「集中力の低下」「イライラしている」などの現象は、発達にでこぼこのある子にもよく見られる現象です。

つまり、発達にでこぼこのある子は基本、脳に疲労が溜まっていると考えた方が良いということになります。

では、脳の疲労を解消するにはどうすれば良いのでしょう。

脳を唯一回復させる方法である睡眠が最も重要となってきますが、そもそもしっかりと眠れているのであれば、回復が追いついていて脳の疲労は少しずつでも減っていき、最終的には健全なレベルになっているはずです。

そうはなっていないということであれば、回復よりも疲労の方が量が多いということになります。

まずは、疲労の原因となっているモノを取り除き、脳に負担を掛けない。次に、しっかりと眠る。

これをやって初めて、疲労よりも回復の方が上回る良いループに入れるのです。

脳に負担を掛けないためには、本人にとって感情が大きく揺さぶられてしまうようなモノ(イヤなことや怖いモノ)に触れないこと。自分でもどうしようもない脳の疲労による「ミスをする」「イライラしている」などの現象を誰からも(本人自身も含めて)責められないこと。

そして、大きな感情の揺れは良いモノでも脳にとっては負担になってしまうので、大きく興奮するようなモノは避け、小さな幸せを積み重ねることです。

こういったことをやったとしても効果として現れるのか分からないからと、やらない選択をする人も多いですが、良いループに入れば、「ミスをする」「イライラしている」などの現象はしっかりと消えていきます。

脳に蓄積された疲労度にもよりますが、脳に負担を掛けないようにしているつもりなのに1ヶ月経っても何も変わらないのであれば、そもそもの原因を見誤っている可能性が高いです。

そんな時は、本人の話を改めて良く聞き、本人の様子をしっかりと観察し、何が本人の脳に負担を掛けているのか推測を立て直してください。そして、その推測に基づいて行動を起こしてください。

それを繰り返すことで、いつかきっと原因を突き止められます。現状を変えられます。

必要なのはただ一つ。諦めずに続けるための根気です。

こう言うと根性論かと思われるかもしれませんが、全く違います。

一般的な根性論が「根性さえあればどんなにハードなことでも乗り越えられる」という”ガンガン行こうぜ”的なモノだとしたら、ここで提唱しているのは「疲れたらしっかり休んで回復したらまた歩き出そう」という”自分大事に”なモノです。

大変な現状を早く何とかしたいという気持ちは分かりますが、頑張り過ぎて倒れてしまっては意味がありません。続けられなければ、途中で諦めてしまっては意味が無いのです。

ですので、頑張らなくても続けられる方法を探してください。疲れたらしっかりと休んでください。

困ったり行き詰まった時は私たちにご相談ください。一人では解決できなかったことも、私たちに相談することで解決の糸口が見つけられるかもしれません。

自己肯定感を高めるには

今回は、『「自己肯定感の高い子に育てたいのに……」母親が子どもを褒められない本当の理由』という記事をご紹介します。

現在の親世代(昭和と平成生まれが混在)は、その上の親世代(昭和生まれのみ)にしつけられて育って来た世代です。

「男らしく」「女らしく」を筆頭に、現在では差別的となってしまうような考え方が当たり前の世の中で育って来た世代に育てられたのです。

近年のジェンダーフリーな考え方や、多様性を認めようという世の中の風潮と、親から言われて来たことやしつけられたこととのギャップで悩み、モヤモヤを感じている人も多いのではないでしょうか。

親から教えられて来た価値観と現在の世の中の価値観が違い過ぎると、どちらが正しいのかと混乱してしまいますよね。

そもそも、世の中の価値観は時代と共に変化します。

女性に関する価値観は、ここ100年で劇的に変化していると言っても良いくらいに変わっています。

男性に関しても近年ようやく変化が見られて来ましたし、親や子どもに関する価値観も変化が見られています。

「男らしく」「女らしく」などの型に押し込められるのは生き辛いと、生き辛さを解消するために動いてくれた方々のおかげですが、このように、時代ごとに変わる価値観に”正しさ”なんてありません。

あるのは”違い”だけです。

世の中の価値観などは特にその時々で変わるモノなのですから、時代に合わせて自分の価値観も変えていけば良いだけなのですが、なかなか変えられないという人も多いです。

近年は特に今までの価値観と違い過ぎるということもあるでしょうが、時代に合わせて価値観を変えることは、それまでの価値観で育って来た親や自分を否定することになるのではと思ってしまうのかもしれません。

そもそも価値観とは、一人一人大事にしているモノの価値のことです。

自分が一番大事という人もいるでしょうし、子どもが一番大事という人もいるでしょう。ペットが大事という人もいるでしょうし、家族との時間が大事という人も、一人の時間が大事だという人もいます。

大事にしているモノは人それぞれ違うものなので、価値観は人それぞれ違って良いのです。自分の価値観を大事にして良いのです。

昔ながらの価値観が良いという人ももちろんいるでしょうし、そういう人も否定されたり批判されるべきではありません。

自分で持っているだけならどんな価値観であっても自由だからです。

ただ、自分の価値観を他人に押し付けて強要したり、他人の価値観を否定するようなことや批判することは避けるべきです。家族であっても我が子であってもです。

家族や我が子であっても自分以外は他人です。自分は価値が無いと思っているモノでも、家族や我が子にとっては価値があるモノかもしれません。命より大事だと思っているモノの可能性だってあります。

自分の大事なモノを大事に出来る。自分の大事なモノを否定されない。批判されない。

たったこれだけでも、人の自己肯定感は保たれるのです。下がっていきません。

もちろん、価値観の違いで意見が衝突することもあるだろうと思います。

そんな時はとことん話し合ってください。どうしても譲れない部分は譲らなくても良いですし、妥協出来そうな部分は妥協案を出してください。

何度も何度も話し合いをしてお互いの価値観を知っていけば、子どもの価値観を尊重することも出来るでしょうし、親が子どもの自己肯定感を下げるなんてことにもならないのではないでしょうか。

あとは、「子どもを褒めるには」の記事にも書いたように、子どもの出来るようになったところを口にするだけで子どもの自己肯定感はきっと上がります。

親世代との価値観の違いや子どもとの価値観の違いに悩んだ時は私たちにご連絡ください。子育て世代ならではの悩み事なら多少なりともお役に立てるのではないかと思います。

心を落ち着かせよう

今回は、『話を聞かずにウロウロ…落ち着きがない「発達障害の特性」との向き合い方』という記事をご紹介します。

そろそろお祭りの時期ですが、発達にでこぼこのある子に限らず、小さい子がお祭りに行くとなった時のソワソワ感は可愛らしいと思うと同時に、保護者は少し注意が必要になります。

ソワソワしていると、持って行く物を忘れたり、転びやすくなったり、周囲が見えなくなって迷子になったりしやすいからです。

何故そうなってしまうのかというと、楽しいお祭りのことで頭がいっぱいで、衝動的になったり注意力が散漫になってしまうから。

発達にでこぼこがあり、周囲からも落ち着きがないと言われてしまう子は、日常的にこの状態の子が多いです。

脳の機能障がいのせいだと言われていますが、少しイメージしづらいので、人間の身体を車に例えて説明してみますね。

手足はタイヤで、脳はエンジンです。睡眠や栄養がガソリンで、運転手は意識だと思ってください。

運転手がいない時は寝ていてエンジンである脳は休んでいますが、起きるとエンジンがかかり、脳はアイドリング状態になります。

何かをする時は運転手がアクセルを踏んで手足を動かしますが、そんなにアクセルを踏まなくても手足を動かせるのが”普通”の人だとすると、アイドリング状態からしてエンジン(脳)に負荷が掛かっているのが発達にでこぼこのある子です。

普段からエンジン(脳)に負荷が掛かっているのです。何もしなくても起きているだけでガソリン(栄養)を使いますし、少しアクセルを踏んだだけでエンジンが悲鳴を上げます。

エンジンが常に高負荷の状態なので、アクセルを踏み過ぎたら車体である身体はコントロールを失いますし、エンジンに負荷が掛かり過ぎると壊れてしまう可能性もあります。

運転手は大変ですよね。力加減が難しい上に、思うように車体(身体)を動かせないのですから、イライラするのも当然です。

何かするたびにガソリン(栄養)を大量に消費するので、日によっては一日持たないこともあるでしょう。

車であれば買い換えれば済む話ですが、身体はそうはいきません。

一生この身体と付き合っていかなければならない本人の苦労が少し分かったところで、周囲の人たちはどうすれば良いのでしょう。

まず、本人が自分でもどうしようもない状態なのだということを分かってあげてください。

“普通”の子であれば、お祭りなどに行く時だけ出て来る衝動性や不注意が、発達にでこぼこのある子は日常的に出ています。

そうであるなら、周囲が次にやるべきことは、テンションが上がってソワソワしている子がやりがちなミスを事前に予測して対策を練ること。

迷子にならないよう目を離さないようにしたり、転ばないよう手を繋いだりと、トライアンドエラーの精神で本人に合った対処方法を見つけてください。

そして、暴れ馬のような自分の身体を、自分の意思でコントロールする術を本人に身に付けさせてください。

必要なのはただ一つ。根気です。

ずっと続けるのは大変ですし、千本ノックのような毎日に心が折れてしまいそうになることもあると思います。

そんな時は無理をせず、自分を甘やかしてください。

疲れた時は休んで良いのです。少しくらい止まっても良いのです。誰も責めたりしません。

それに、保護者に疲れが溜まっている状態では、イライラして本人にも当たりがキツくなりがち。

そうなると負のループです。保護者が不安定だと本人も不安定になり、出来ていたことも出来なくなり、周囲も本人ももっと辛くなってしまいます。

保護者の心を安定させることは、本人のため、ひいては保護者のためなのです。

ですから、美味しいものを食べて、楽しいことをして、たっぷり充電してからまた歩き出せるよう、完全に心が折れる前に自分を甘やかして休んでくださいね。

当事者で、一番大変だろう本人も一緒に甘やかしてあげるとなお良しです。

困った時や悩んだ時は私たちにご相談ください。私たちも同じ悩みを持つ仲間です。建設的な話でも愚痴大会でも良いです。誰かに話すことで考えもまとまりますし、ストレスを緩和するお手伝いが少しでも出来れば幸いです。

専門家に頼ろう

今回は、『「着替えができない」「なわとびがとべない」不器用すぎるDCD (発達性協調運動障害)のある子どもたち』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、人間の発達には段階があります。

母子手帳にも月齢ごとに記入する欄がありますが、それを見ると分かるように、発達の段階で出来ることが変わってきます。

「1歳6ヶ月の頃」だと「ひとりでじょうずに歩く」だったのが、「2歳の頃」だと「走ることができる」になっているように、心身の成長に合わせて発達の段階が変わるのです。

ここで大事なのは、出来ることが変わっていくのは”心身の成長に合わせた発達の段階”によるものであり、”年齢”ではないということです。

2歳になったから「走ることができる」ようになったわけではなく、心身ともに成長したから、発達の段階が「走ることができる」に到達したのです。

母子手帳には「4歳の頃」のところに「お手本を見て十字が描けますか」という項目がありますが、5歳でもお手本を見て十字が描けないのであれば、発達の段階がそこまで到達していないということになります。

では、「お手本を見て十字が描ける」ようにするにはどうすれば良いのでしょう。

まず、その前の「3歳の頃」の欄にあることが全て出来ているかどうか確認をしてください。

「3歳の頃」の欄にある「クレヨンなどで丸(円)を書きますか」が出来ていないのであれば、「お手本を見て十字が描ける」は発達上さらに上の段階なので出来なくて当然ということになります。

その他の「3歳の頃」に書かれている項目も、出来ていないことがあるのであれば、「お手本を見て十字が描ける」の段階に行けない原因となっている可能性はあります。一見関係なさそうであってもです。

母子手帳に書かれた「3歳の頃」の項目にも出来ていないことがあることを確認した5歳児の保護者が次にするべきことは、気に病むことでも全ての項目が出来るようになるまで本人に強要することでもありません。

次にするべきことは、病気や障がいなど本人が何かしら抱えているのではないかと疑って確かめることです。

もちろん、ただ単に発達が少し遅れているだけの可能性はあります。

ですが、違和感が少しでもあるのであれば、小児科の先生や発達センターなどに相談してください。

人間は経験から判断する生き物です。今までの経験の中に当てはまらない何かを感じると、違和感を感じたりカンが働きます。

何もなければそれはそれで良いですし、腕に腫瘍が見つかったりすれば治療を開始できます。発達にでこぼこがあると分かれば早めに療育を始められますから、本人のためにも保護者のためにもなりますよね。

一番避けたいのは、本人が適切な治療や療育を受けられないまま成長し、命に関わるような事態になったり身体的な障がいが残ったり、出来ないことがどんどん増えることで自己肯定感が育たず、うつなどの二次障がいを引き起こすことです。

そうなる前に、本人が治療や療育で成長出来るよう専門家に手助けを頼んでください。

保護者が出来ることもたくさんありますが、ことわざにも”もちはもち屋”とあるように、専門家に頼んだ方が良いこともたくさんあります。

特に、「お手本を見て十字が描ける」などの身体を動かすことに困りごとを抱えている場合、専門家しか対処出来ないことも少なくありません。

数年単位で身体のしくみを専門的に学び、月に数十人、トータルで何百人と患者さんを診てきている専門家に任せてしまった方が安心ですし、本人が成長するスピードも上がるのではないでしょうか。

保護者も、専門家に診てもらって本人が何故出来ないのかを知り、本人の身体のことを教えてもらうことで本人との関わり方を学べば、本人も保護者もつらく苦しい思いをせずに済みますよね。

体面や外聞を気にしたり、病院などに連れて行くのが面倒だからと何もしない場合、その後に待っているのはもっと大変な事態です。

出来ればそうなる前に、専門家へと繋がってください。

もうすでに大変な事態になってしまっていても遅くはありません。今からでも大丈夫。間に合います。

専門家へどうやって繋がれば良いか分からない時は私たちにご相談ください。私たちも似たようなことで困った経験がありますから、少しは手助け出来るのではないかなと思います。

遊びの中に学びを

今回は、「我が子の“理系脳”を育てる? 『はたらく細胞』『Dr.STONE』“理系の世界”を面白く描いた漫画たち」という記事をご紹介します。

発達にでこぼこのある子は勉強が苦手な子が多いです。

好きなことや得意なことなら勉強を勉強とも思わず、自分から進んでアレコレとこなしますが、苦手なこととなると全く手を付けようとしなかったりします。

学校の詰め込み型の勉強が合っていない、書き取りが苦手なのにキレイに書けるようになるまで書き取りを何度もやらされる、計算が苦手なのに計算ドリルが大量に出されるなどなど、本人に合っていない勉強方法が原因で勉強が苦手になってしまったという子も少なくありません。

勉強は、苦手意識を一度でも持ってしまうとハードルがかなり高くなってしまいます。

出来ればそうなる前に何とかしたいところですが、すでに苦手意識を持ってしまっていても何とかなる方法があります。

楽しいモノの中に勉強を組み込む方法です。

上記記事にあるマンガも、読んで面白い上に勉強にもなるモノです。

文字を読むのは難しいという子であれば、記事に記載されているマンガにはアニメ化されているモノもあるので、そちらをまず観てみると良いのではないでしょうか。

本人に面白いと思ってもらうことが重要なので、本人が面白くなさそうであれば無理強いはしないでくださいね。そのジャンルが本人に合わなかっただけなので、他のジャンルも試してみてください。

一つでも面白いと思えるアニメが見つかったら、次は同じジャンルのマンガを買い与えてあげてください。原作でも良いです。

同時進行で似たジャンルのアニメも見せていき、ハマるようならマンガを買い与えます。

マンガでは物足りなさそうなら、そのジャンルの事典や図鑑を買い与えてみてください。

本を読むことに抵抗感が無くなれば次々と本を読むでしょうし、読む量が多くなればなるほど読める漢字が増えて国語力も上がります。

マンガはちょっと、と思うかもしれませんが、やりもしないドリルを買うよりも費用対効果はきっと大きいです。

アニメだけではなく、ゲームにも勉強に繋がるモノはたくさんあります。

「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~ (桃鉄) 」は、やり込むだけで日本の地理に自然と詳しくなります。社会の勉強です。

近日発売される「桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~ (桃鉄ワールド) 」は、きっと世界の地理に詳しくなれるでしょう。

他にも、戦国無双では戦国武将の名がたくさん出てくるので日本史を学ぶ時のキッカケになりますし、スマートフォン向けアプリ「Fate/Grand Order」では世界史上の著名な人物が多数起用されているので、世界史に興味を持つキッカケになり得ます。

ボードゲームであれば、麻雀では役の点数計算で計算能力が鍛えられますし、カードゲームであれば、神経衰弱などで記憶力が鍛えられます。

かるたで百人一首を覚えることで古文に興味を持つキッカケになりますし、ナンプレでは数字に抵抗感がなくなり、根気強く考える力が身に付きます。

他にも、他者と対戦することでコミュニケーション能力が鍛えられたり、勝ったり負けたりすることで感情をコントロールする方法を学んだりします。

勉強しないからとアニメやゲーム、マンガを制限するご家庭は多いですが、制限しても勉強しないのであれば制限に意味はありませんよね。

どうせなら逆手に取って、アニメやゲーム、マンガで勉強もさせてしまいましょう。保護者も本人と一緒に遊んで楽しんでしまいましょう。

どのジャンルにハマるかは本人次第ですが、本人が面白いと思ってくれたら、そこから興味の幅を拡げていってあげてください。

本人の「見に行きたい」や「やってみたい」を出来るだけ制限しないでおくと、どんどん深みにハマって将来的には仕事に繋がることだってあるかもしれません。

他にも、公園の砂場で磁石を使って砂鉄を集めてカイロを作ってみたり、道端に生えている雑草の名前をスマホで調べてみたり、海釣りに行って釣れた魚の種類を図鑑で調べてみたりと、遊びや生活の場で勉強に繋がることはたくさんあります。

保護者がやっていることに興味を持ったりもするので、料理や掃除、洗濯などの他にも、車の動きや仕事に関することなど、色んな話を本人に振ってみてください。

お肉を煮込む時はお酒を入れると柔らかくなるんだよ。

排水溝に重曹をまいた後に水に溶かしたクエン酸を流すと泡立ってキレイになるんだよ。

洗濯物の生乾き臭は雑菌が残っているせいだから、除菌できる洗剤で洗濯すると防げるんだよ。

車がスピードを出すとシートに体が押し付けられるけど、急ブレーキを踏むと体が前に飛んで行っちゃうからシートベルトはきちんと締めようね。

このような生活の知恵は、理科や家庭科の勉強のキッカケにもなりますので、教えておいて損はありません。

今は分からないことはネットで調べることも出来ますので、分からないことはその場で調べて本人と共有することで知識が増えていきますし、本人の中で”分からないことはネットで調べる”ことが当たり前にもなります。

そうなれば、大抵のことはネットに情報が載っているのできっと大丈夫。保護者の手を離れても自分の力で人生を切り開いていけます。

あ、ネットの情報には嘘が混ざっていることも教えておいて下さいね。

信用出来るサイト(政府や自治体などの公的機関や大学や医師会などの学術機関、トヨタや花王などの大手企業など)と、そうでないサイト(まとめサイトや個人ブログ、YouTubeなどで出典が明記されていないなど)の見分け方とかも教えてあげてください。

一般的な勉強方法とは真逆だったりするので不安に思うかもしれませんが、一般的な勉強方法では勉強してくれないのであれば、遠回りのように思えても、効果があるのかどうか分からなくても、勉強に繋がりそうなアニメやゲーム、マンガを与えてみる価値はあるのではないでしょうか。

一般的な勉強方法を強要して本人から大きく反発されたり、本人の学習意欲が全く無くなるよりはマシなはずです。

もうすでに学習意欲が無いという場合は、勉強になりそうな遊びを本人と一緒に楽しんでください。楽しいことであれば毎日でもやれるので、勉強の遅れもあっという間に取り戻したりもします。

何より、本人が楽しそうにしている姿を見るのは保護者にとっても喜びではないでしょうか。

毎日つまらなさそうにスマホを見ている姿を見るより、勉強しなさいと言って癇癪(かんしゃく)を起こされるよりもずっと良いですよね。

他の教科の勉強になりそうなモノが見つからない時は私たちにご相談ください。提案の一つくらいは出来るのではないかなと思います。

お風呂を楽しんでもらうために

今回は、『子どもがお風呂を嫌がる原因は「床」? 発達障害の子の感覚過敏への対処法』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこのある子がお風呂に入るのを嫌がるというのは割とあるあるですが、身体を清潔に保つためにもお風呂は出来るだけ毎日入って欲しいところ。

かと言って、嫌がる本人を何とかお風呂に入れようとしてもそう上手くはいきませんよね。

まずは、お風呂の何が嫌なのかを本人と一緒に探ってみてください。

お風呂に入るのにお世話が必要な小さい子だと感覚過敏で嫌がっている場合が多いですが、ある程度大きくて自分で身体を洗えるような子だと”面倒だから”という理由で嫌がっている場合が多いです。

疲れ切っていて眠気もピークの時、お風呂に入るのが面倒だと思ったり、実際に翌日の朝に回したりしたことがある人は多いと思いますが、”お風呂に入る”という行動は意外と物理的・心理的な壁が多いのです。

まず、”お風呂に入る”というたった一言の中に含まれている工程がめちゃくちゃ多い。

全部書き出そうとしましたが、ちょっと多過ぎるので、自分がお風呂に入る時の工程を最初から最後まで省略せずに一つ一つ思い浮かべてみてください。お着替えを用意するところからです。

①お着替えが置いてあるところへ移動して、②パジャマ上下を探して取り出して、③下着を探して取り出して、④それらを持ってお風呂場へと移動、⑤お着替えを置く。

ほら、お着替えを用意するところからして工程が多い。

まだ脱いでもいない状態なのに、これだけの工程があるのです。お風呂から出るまでにあとどれだけの工程があるか。本人が面倒だと思うのも頷けますよね。

発達にでこぼこのある子は疲れやすい子が多いです。

疲れている状態で工程がめちゃくちゃ多いお風呂に入るのは、いくらお風呂が疲れを取ってくれると言っても面倒なもの。

では、どうすれば嫌がらずにお風呂に入ってくれるのでしょう。

お着替えを用意するところからして面倒な工程が多いのですから、その面倒を出来るだけ減らすことに力を注いでください。

洗濯物を片付ける時にパジャマ上下と下着をセットで片付けて、お着替えを用意する手間を省いておく。何なら脱衣所にお着替えセットを置く場所を作って手ぶらでお風呂に入れるようにする。

リンスinシャンプーや、上から下まで洗える全身ボディソープ(泡タイプなど)を使って身体を洗う工程を減らす。

髪の毛は乾かさなくても良いよう短くしておく。もしくは、ドライタオルで巻く。何なら乾かさなくてもヨシとする。

などなど、工程を可能な限り減らして減らして、最終的に身体がある程度綺麗になっていればヨシの精神で、本人が出来るだけ楽にお風呂に入れるよう工夫してあげてください。

工程が少なくなればなるほど、楽になればなるほど、お風呂に入った時の疲れが取れる感覚を実感しやすくなります。

そうなればこちらのもの。

オモチャやバスボムなど、本人がお風呂タイムを楽しめるものがあれば、それほど嫌がらずにお風呂に入ってくれるようになるでしょうし、身体の清潔もある程度保てて良いループに入ることが出来ます。

そうやってお風呂に入ることに慣れていけば、少しずつ余裕が生まれて追加で出来ることも増えていくのではないでしょうか。

感覚過敏の場合も同じで、どうすれば本人が楽にお風呂に入れるかを一緒に考えてあげてください。

面倒な工程がたくさん&感覚過敏のダブルコンボだと、お風呂に対する心理的負担は相当なモノだと思います。

まだ上手く説明出来なかったり、本人も良く分からなかったりするかもしれませんが、本人が嫌だと思った時はしっかりと態度に出ます。それを見逃さないでください。

そして、どうすれば本人にお風呂を楽しんでもらえるか知恵を働かせてください。

今はネットという頼もしい味方がいます。同じ感覚過敏の人たちが、こうしていると自分たちの工夫を教えてくれています。

ピッタリと当てはまる方法は無いかもしれませんが、ヒントにはなるはずです。

対処方法がなかなか見つからない時は私たちにご相談ください。ヒントの一つ、面倒な工程を省く方法の一つくらいはお知らせ出来るのではないかなと思います。

相談先に困った時は

今回は、『10人に1人が発達障害…公認心理師に聞く「ADHD」の困りごとや接し方のコツ』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、小さい子は衝動的に走り出してしまうことがあります。

例えば、保護者と手を繋いで散歩していた時、目の前に飛び出して来たねこちゃんが道路の向こう側へと走り抜けて行った場合。

動物が好きな子であれば、「ねこちゃんに触りたい!」という衝動を抑えられず、周囲の状況(車が向かって来ている)などお構いなしに保護者の手を振り払ってねこちゃんを追いかけてしまいます。

そんな風に小さい頃は何度もヒヤヒヤしたという経験を持つ保護者も多いのではないでしょうか。

発達にでこぼこがある子の場合、そもそも手を繋いでくれないことも少なくありません。

何度繋ぎ直しても繋いでいる手をねじ切るようにして振り解き、自由を謳歌するのです。楽しそうにあちこち移動する本人をハラハラしながら見守る保護者に気の休まる時などありません。

また、園児の頃なら保護者がずっと手を繋いでいることも出来たでしょうが、小学生となるとそうもいきません。一人で登下校しなければならない場合も出て来ます。

新一年生になるにあたり、練習も兼ねて学校までの通学路を本人と一緒に歩いてみたら、その途中でヒヤリとすることや危ないなと思う所が何ヵ所かあり不安感が増した。

気をつけるよう言い聞かせつつ数日だけ一緒に登校したりしたけれど、保護者がずっと一緒に登校できるはずもなく、一人で家を出る我が子を見送りながら事故に遭わないようにと祈るしかなかったという保護者も多いだろうと思います。

実際、小1の子どもの事故件数は小6の子どもの約3.2倍にもなるのだそうです。

重大な事故には繋がらなかったとしても、下校途中で通学路から離れて迷子になったとか、道草しまくりで暗くなるまで帰って来なかったとか、一歩間違えれば警察のお世話になっていたのではと思うようなヒヤリハットが続いた場合、保護者の心労は計り知れませんよね。

心配し過ぎだとか、子どもはそんなものだという周囲の声もあるでしょうが、一番身近で本人を見ている保護者が気になっているということ自体が重要なのです。直感大事。気のせいにしちゃダメです。

発達にでこぼこがあるのかもしれませんし、違うかもしれませんが、発達にでこぼこがある・ないに関わらず療育はするに越したことはありません。

そして、療育は始めるのが早ければ早いほど良いと言われています。

病院や発達支援センターに行くのには抵抗があるという場合でも、ペアレント・トレーニングなら本などで軽く学ぶことが出来ますから、とりあえず見よう見まねでもペアレント・トレーニングを始めてみてください。

上手くいくようならそのまま続ければ良いですし、それでも状況が変わらないようなら、専門家の手を借りた方が本人や保護者の為になるかもしれません。

何よりも、しんどいのを我慢しないでください。

我慢しても良いことなんてありませんし、しんどい状態で子育てしていたら、普段なら上手く行くものも上手く行かなくなってしまいます。

どこに相談すれば良いのか分からないという場合は私たちを頼ってくださいね。

私たちは現在進行形で発達にでこぼこがある子を育てています。どこに相談すれば良いのか知っています。

役場に行くのはちょっと、という場合でも、同じ保護者の私たちになら少しは相談しやすいのではないでしょうか。

改まって相談するのは気が引けるという場合は、6月24日(土曜日)に開催されるイベントにご参加ください。

そこなら小さいお子さんがいる一般の方も参加されますので、相談するしないに関わらず、お子さんと一緒に是非遊びに来てください。無料ですし、お子さんにはお菓子もあります。

皆さまのご参加を心からお待ちしております。

経験値を積み重ねよう

今回は、『発達障害の人は“世界の見え方”が違う、「感じ悪い、空気読めない」は誤解かも』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこのある子は、時にもどかしさを感じるほどに素直で真っ直ぐです。

“普通”なら、その時々の状況を考えて柔軟に対応する場面でも、発達にでこぼこのある子は真っ直ぐに突き進んで行ったりします。

我が強い子なら思い切り衝突してトラブルになりがちですし、気の弱い子なら誰かと衝突しそうになったということ自体にストレスを感じてしまいます。

素直だったり真っ直ぐであることは良いことなはずなのに、素直過ぎたり真っ直ぐ過ぎるあまり、周囲からは「感じ悪い」「空気が読めない」と問題視されてしまうのです。

では、どうすれば周囲から問題視されずに済むのでしょう。

そもそも、人が抱えている問題点は、見方を変えれば美点でもあります。

我が強いということは、自分をしっかり持っているということですし、気が弱いということは心根が優しいということです。

他にも、頑張れない人はいつでも自然体でいられて無理しない人とも言えますし、落ち着きがない人は好奇心旺盛でフットワークが軽いとも言えます。

それなら、そのままでも良いのではないかとも思ってしまいますが、どれだけ良いことや良いモノでも、行き過ぎると毒になってしまうものなのです。

行き過ぎかそうでないかの判断基準は、周囲に迷惑がかかっているかいないか。

本人が生きやすいよう環境を整えるのは大事ですが、本人の生きやすさを追求する中で他者に我慢を強いるようなことがあるとトラブルの原因になってしまいます。

それでは本人が周囲と上手く馴染めず生きづらくなってしまいますから本末転倒ですよね。

ですので、本人と周囲が折り合いを付けられるよう、保護者が人生の先輩として本人と一緒に落とし所を探ってあげてください。

他者とのコミュニケーションも、こういう時はこうした方が良いとか、こう言われたらこう返した方が良いとか、具体的な事例込みで教えてあげると、経験値・パターンとして少しずつ学習していきます。

また、本人と話している時に他者とトラブルになりそうな思考の癖だったり、他者の人格を否定するような発言が見られたら、都度都度しっかりと絶対に後回しにしたりせずに修正を加えてください。

口は災いの元と言うように、頭の中でならどう思っても自由ですが、口にすると宜しくないことはたくさんあります。

それらもしっかりと具体的な事例込みで教えてあげると、時と場合で言わない方が良いことがあるということを少しずつ学習していくのではないでしょうか。

もちろん、学習している途中で失敗してしまうこともあると思います。

他者から怒りなどのネガティブな感情を向けられると、どんな子であってもしんどいものです。

落ち込んでしまうこともあるでしょうし、責任転嫁して他者のせいにしてしまうこともあるでしょう。

そんな時も決して後回しにせず、しっかりと何が悪かったのか、どうすれば良かったのか本人と話をすることで、次からは気をつけるようになったりもします。

何度も同じ失敗を繰り返す場合は、本人の理解度が足りていないのかもしれません。

その時は、本人の年齢から少し下の年齢の子に教えるように伝え方を変えてみてください。

小さい子に言い聞かせるようにすると、意外としっかりと伝わったりします。

発達にでこぼこのある子は苦手なことが多いですが、全く成長しないわけでもありません。

数年単位ではなく数十年単位で成長したりするので、本人を毎日見ている保護者からは成長していないように感じられるかもしれませんが、10歳では出来なかったことでも、20歳になったらある程度出来るようになったりします。

色んなことを話し、色んなことを経験することによって、少しずつ少しずつ本人の中で経験値が蓄積していくのです。

経験値が蓄積されているかどうかは目に見えないので、こんなことをやっても無駄なのではと思ってしまうこともあると思います。

でも、どれだけ無駄なように見えることでも、将来の役に立つのかと思えるようなことであっても、本人が見聞きしたことや経験したことは決して無駄にはなりません。

いつかどこかで役立つことがあるかもしれませんし、役に立たないことでも、その経験値の積み重ねの上に本人が成り立っているのです。

他の誰も同じ経験はしていないでしょうし、”普通”の人なら絶対に積んで来ていない経験値です。そう考えると、本人は唯一無二で貴重な存在ですよね。

保護者は是非とも、そんな本人が生きづらくない生活が出来るようサポートしてあげてください。

そうは言っても、本人からの反応があまり返って来ない中での壁打ちはしんどいと思います。そんな時は私たちにご連絡ください。壁打ちの辛さは痛いほどに分かりますので、励まし合いましょうね。